新たな市場を創り出すビジネスモデル
小売業界は変化の波に晒されている。販売額、売上高が減少傾向にある主要企業もある。この閉塞状況を打開するために何が必要なのか、2人の識者が語りつくす。
日本の小売業が抱える問題について
西川 日本では人口減少、少子高齢化、格差社会など、社会構造が変化しています。そういう時代のなかで、日本の小売りチェーンが消費者の変化をきちんと捉えて対応できているかという問題があります。さらに、基本的にはオーバーストア(出店過剰)状態にあって、利益率も低い。そこで生き残りの競争をしなければいけないのが現状です。
平野 そもそも人がモノを買うのはどういうことかと考えた時に、4つほど要因があると思います。1つは所得、2つ目は24時間をどう奪いあうかという時間軸、3つ目が価値観。アメリカでは9・11、日本だと3・11以降大きく変わったと言われています。最後はエンタテインメント性。この4つが非常に重要ではないかと思っているのですが、日本の小売業界が低調な理由は、差別化がでてきないということの裏返しではないでしょうか。
西川 確かにこの4つのポイントを軸に考えるとわかりやすいですね。例えば、アメリカから上陸したコストコは日本に合わないと言われていましたが、あえてアメリカ人向けの巨大な食品を売ったり、アメリカにしかないものを売ったりするエンタテインメント性が受けたこともあり、店舗を増やしています。国内では、シニアだけではなく今や約16%にものぼる新貧困層、震災以降に目立ち始めたスマートな消費者など新たなマーケットも出てきています。消費者の価値観を把握し、それに対応したサービスや商品を追求していけば、まだまだ新たなマーケットを創造できると思います。
消費者ニーズにリーチできない理由
西川 これはもう30年前からずっと問題になっていて、いまだに解決されていませんね。POSデータも十分に活用しきっていない。
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