返礼品にまつわるストーリーづくり

地方創生には、多彩な人が関わることが理想だ。ふるさと納税をきっかけに縁のできた寄附者と地域。両者の関係性を深め、発展させることに加えて、その状況を広く伝えていくことで、理解者や共感する人が増える。機会を有効に活かしながら新たな付加価値づくりに臨む流れを模索したい。

事業構想大学院大学学長 田中 里沙

地域の資源を発掘し、その物語を共有する

私ども事業構想大学院大学は、多方面からのご協力をいただきながら、ふるさと納税・地方創生研究会を継続的に実施し、地方自治体の取り組みと寄附者の意識の相関について、事例をもとに検討と検証を重ねてきた。特に重視した視点は次の3点。①ふるさと納税の基本理念を踏まえつつ、醸成されつつある日本の寄附文化を歪めることのないような運用を行うにはどうすればよいか。②本制度を活かして、地域がマーケティング力を高め、成長していく筋道を見出すことができるか。③地域の現状や地域住民の声を形にするような、独自性のある新たな使途を開発し、その内容を適切に情報発信する流れを生み出せるか。

いずれの場合も、これまで以上に、寄附者と地域をつなぐ多様な"ツール"の開発が重要となる。返礼品を用意する場合には、その品の特性、歴史から、選定された背景、生産者の思いが伝わることが必須だ。返礼品に同封される手紙、パンフレットには工夫がこらされ、また、さとふるなどのポータルサイトでも、返礼品にまつわるストーリーが描かれる傾向が目立ってきた。これまで考えることもなかったPRが始まり、サポート事業者の方々にメールニュースを送信するなど、名産品の発掘と付加価値づくりが加速する事例も出ている。例えば、大阪府泉南市では「域外の方の声が入り、事業者の意識が変わった」との声も聞かれた。同時に、寄附者とのつながりのまえに、事業者、地域内のインナーコミュニケーションが大切であることにも気づき、地域は確実に変わりつつあるという。返礼品開発を地元経済の活性化に結び付けるアイデアが、これからも待たれるところである。

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