持続可能な事業の創出を

人口減少対策、財政の健全化と課題の多い弥彦村で、36年ぶりとなる村長選挙で初当選した。村の課題を誰よりも深く考える小林豊彦村長に、ふるさと納税制度をどのように捉え、活用していくのか考えを聞いた。

弥彦村村長 小林 豊彦

財政力強化が急務、村長選挙に出馬

大学を出た後、日本経済新聞社で記者を務め、日経リサーチの社長だった60歳の時に会社人生を卒業した。そして故郷の弥彦村に残していた母を介護するため村に戻った。実家には父が遺した30アールの田んぼと24アールの畑があったので、農業をしながら故郷での暮らしを楽しんでいた。当時は村長になるなどとはまったく想像もしていなかった。

ところが、周囲から村が抱える問題点をだんだんと聞かされるようになっていった。弥彦村には弥彦競輪場があり、運営が順調な頃は大きな収益源となって財政は潤っていたようだ。そのような豊かさもあり、いわゆる平成の大合併時には独立の道を選んだ。ところがその後、競輪場の活気がなくなり、財政事情が非常に厳しくなっていってしまう。独立路線を守るためには村の財政力強化が急務と考え、それまで3期連続で無風が続いていた村長選挙に立候補することを決断した。

2015年1月、村長に就任して調べてみると2012、2013、2014年度と3年連続で実質単年度収支が赤字だったことが分かった。子育て支援策や高齢者対策に財源を投じたかったのだが、それよりも前にまず財政の健全化が必須と考えた。新たな収入源を作るために、放置され荒れてしまった弥彦山の森林資源を使った木質バイオマス発電の事業化を考えた。一方で支出を削るために、聖域を設けることなく補助金の見直しを行った。それによって2,000万円分を削減したのだが、2016年度の単年度収支も2,300万円の赤字となってしまった。

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