ケア・リゾートという選択

宿泊しながら気軽に“健康診断”。新規ヘルスケア事業を導入し、「ケア・リゾート」というオンリーワンの価値を見出した小樽朝里クラッセホテル。健康を切り口に取り組む、ホテル“トータルブランディング”の手法とは?

心地良く揺らぐ灯りで満たされたロビー。「心の健康」というより広い年代層に響くフレーズで、若い世代も取り込む

温泉に入ると疲れが取れる。その幸せを宿泊者の「気分」で終わらせないところに、このホテルの価値がある。

小樽朝里クラッセホテルは「エイジングケア・リゾート」を掲げ、利用者の健康回復、健康づくりに総合的にアプローチしてきた。「2003年から始まった小樽市の観光クラスターが事業のきっかけでした」と、経営母体であるアンビックスの前川勝美取締役副社長は語る。全国初の観光を切り口としたクラスターにおいて、小樽朝里クラッセホテルは「観光クラスター研究会」にメンバーとして参加した。

朝里川温泉は一般道で40分と札幌からほど近く、四季を通じてレジャーも楽しめる小樽の奥座敷である。研究会は、当時主流だった大型バスで名所を巡る周遊型旅行のコースに組み込まれることよりも「保養地」としてのブランディングに比重を置くことを選択し、この小規模な温泉郷を「ゆらぎの里1/f」と位置付けた。

自然現象にしばしば見られる「1/fゆらぎ」と朝里川の豊かな自然がつくりだす心地いい空間を重ね合わせ、心身を癒す湯の里として差別化を図り、滞在型旅行の需要の掘り起こしを狙ったのだ。このコンセプトが発展するかたちで、小樽朝里クラッセホテルも「健康」をキーワードにした事業に取り組み始めた。

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