加賀野菜から機能性食品

2015年春に北陸新幹線が開通すると、金沢は東京から2時間半圏内となる。観光やビジネスの場として交流人口を増やし、活性化を図るため、石川県は「食文化の魅力向上」に取り組む。金沢では金沢大学と共同で「加賀野菜」の価値を高める科学的研究が進んでいる。

加賀野菜「金時草」産官学でブランド構築

金時草は加賀野菜の一種で金沢市かほく市が産地。栄養素が豊富で、天ぷらからシャーベットまで幅広い料理に使用される

城下町金沢には、藩政時代から受け継がれた季節感に富んだ特産野菜、加賀野菜が数多く存在する。しかし生産者が増産性や耐病性を追い求め、同時に、消費者も見た目の綺麗さや調理の簡便さを第一に考える時代風潮とともに、加賀野菜が市民から忘れられ、生産農家も減少の一途を辿ってきた。

そこで地域の流通業界、消費者、農業団体、生産者が一体となって、金沢市特産農産物の生産振興と消費拡大の推進を目的に、加賀野菜の再ブランド構築に乗り出した。

金沢大学では加賀野菜の健康効果に着目し、科学的な機能性データを実証することで価値を高めるプロジェクトを開始した。基礎研究で終わることなく、金沢大学では産学官連携で研究を進め、企業と共に商品を開発するシステムを構築している。

金沢大学特任教授の只野武氏は、加賀野菜の「金時草」に注目。「近年土壌枯れや品種改良が進み、野菜の栄養価が下がっています。そのためバランスの良い食事をとっていても栄養が不足してしまいます。金時草はビタミンA、ビタミンC、ポリフェノール、カルシウム、ギャバが非常に豊富です」。

金時草の凍結粉末を水に溶かして青汁のように飲むだけで、血糖値や血圧が下がることを只野氏が発見して市場化した。金時草は現代人にとって注目の野菜だ。

金時草の健康効果をさらにパワーアップするため、只野氏は一緒に摂取すべき食材を探した。乳酸菌サプリメント(ベルムア150)を同時に摂取すると、金時草だけでは得られない効果が発見された。「金時草のみでも2型糖尿病(主に食事や運動など生活習慣による糖尿病)の症状緩和に効果がありました。さらに乳酸菌サプリメントを金時草と一緒に摂取すると1型糖尿病の人でも効果を実証することができました。1型糖尿病は小児に始まることが多い自己免疫疾患で、注射薬を常備携帯しなくてはなりません。食事によって症状を緩和できることは患者さんの未来を拓く一手となるでしょう」

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