大量発生する食品廃棄物、ホエー(乳清) 活用を阻む問題を解決する方法4つ 

(※本記事は『THE CONVERSATION』に2024年10月22日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

ボウルに入れられた固形のチーズと液体のホエー
チーズ製造では大量のホエー(乳清)が発生する Copyright: Cecilia

オーストラリアでは毎年、760万トンの食品が廃棄されている。世界中で発生しているこの問題について考える時は、カビの生えた果物や古くなったパン、冷蔵庫に詰め込まれた食材を思い浮かべるかもしれない。しかし、実際にはこの食品廃棄物の半数近くが、私たちの手元に届く前の段階、すなわち食品の生産、加工、輸送過程で発生している。

例えば、牛乳からチーズを作る際には、最終的に得られるチーズの量は原料に対してわずかで、残りの大半がホエー(乳清)として生成される。その量は、原料乳の90%にも達する。

ホエーには牛乳の栄養素の約半分が含まれており、有用な資源であるにもかかわらず、オーストラリアの大規模な乳製品業界においては最も多く廃棄されている食品資源の一つである。乳清は毎年約3億5千万リットル廃棄されており、企業は廃棄処分にかかる費用5億8千万豪ドル以上を負担しながら資源を無駄にしている。

私たちの新たな研究では、オーストラリアのチーズメーカーの約3分の1に及ぶ、42社にインタビューを行いこの問題に対する見解を得た。

調査の結果、チーズメーカーはホエーの有効活用法は認識しているものの、実際に活用する際の課題に直面していることが明らかになった。

タンク内のホエー
ホエーは大量に生成され、その大部分が廃棄されている Copyright: Jesse Gillies

ホエーの活用法 新たにアルコール飲料も研究中

ホエーを利用した発酵飲料やプロテインパウダーといった製品は、すでに市場に流通している。また、乳児用の粉ミルクには、ホエー中に残る栄養価の高いラクトフェリンが含まれていることもある。スイスの人気ソフトドリンク「リヴェラ」もホエーから作られている。

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