人気ボドゲ新作「カタン:ニューエナジーズ」 難しいテーマを話題にしやすく
(※本記事は気候変動やよりよい未来に役立つ情報を掲載する非営利メディア『Grist』に2024年7月10日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)
6月のシアトルの穏やかな夜のこと、4人の気候ジャーナリストがバーに入った。私たちが集まった理由は私が抱えた段ボール箱だ。その中には、定番ボードゲーム「カタン」の最新バージョン「カタン:ニューエナジーズ」が入っている。
私たちは、元となったカルト的な人気を誇るゲームの長年のファンであり、再生可能エネルギーと化石燃料を架空の島でバランスよく使用するこの新バージョンにとても関心を持っていた。しかし、真の目的は、この気候変動をテーマにしたボードゲームが本当に楽しいかどうか、そしてこのゲームが気候変動について、より多くの人々が話題にするきっかけになるかどうかを確認することだ。科学者や支援団体が示唆するように、気候変動への取り組みの前提条件として誰かと気候変動を話題にして話すことは重要だからだ。ビールを注文し、プラスチックを使っていないパッケージを開けてゲームを始めることにした。
「カタン:ニューエナジーズ」の元となったゲーム「カタンの開拓者たち」は、1995年に発売された。世界中で4000万部以上を売り上げ、40以上の言語に翻訳されている。2015年には「開拓者」の部分がタイトルから削除されたが、それでもなお、資源採取と植民地主義の物語を継承していると批判を受けている。
このゲームは3〜4人用で、六角形のカラフルなタイルで構成された地図が特徴だ。各タイルは異なる種類の土地を表しており、プレイヤーは土地に対応する資源を得ることができる。プレイヤーは自分のターンに、町や道路を建設するために必要な資源を交換し合う。ゲームが進むにつれて、この交渉は活発になり、時には白熱することもある。おそらく、現代人が羊を巡って口論をする唯一の状況だろう。
6月14日に発売された「ニューエナジーズ」は、カタンの広大な世界における最新の独立した追加版だ。化石燃料の要素が追加されて2011年に公式リリースされた「カタンシナリオ:油田」というファンによる拡張版に触発されている。
元のデザイナーであるクラウス・トイバー氏の息子ベンジャミン・トイバー氏によると、現実世界のエネルギーと汚染のダイナミクスを比較的短時間のゲームに組み込むのは初めは難しかったという。そこで、トイバー一家は「油田」のデザイナーの一人である持続可能性研究者エリック・アサドゥリアン氏に相談した。
「父がいつも言っていたように、楽しくなければメッセージは伝わらない」とトイバー氏は言う。「しかし、気候変動のような非常に複雑なテーマが、楽しく遊べるように簡略化されているという事実を認識し、尊重しなければならない。」10年以上にわたるゲーム制作の最後の協力となった「ニューエナジーズ」は、2023年にクラウス氏が亡くなる前の家族との最後の共同制作であった。
続きは無料会員登録後、ログインしてご覧いただけます。
-
記事本文残り67%
月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!
初月無料トライアル!
- 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
- バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
- フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待
※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。