観光業への気候変動リスク、過小評価か 保険会社による豪州での最新調査結果
(※本記事は『THE CONVERSATION』に2024年9月18日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)
現在、オーストラリアは世界でトップ5の観光地の一つであり、これはアメリカ、フランス、スペイン、日本と並ぶ位置づけであると世界経済フォーラムは述べている。
観光業はオーストラリア経済にとって極めて重要であり、推定では65万5,000人が従事しており、その人数はオーストラリアの石炭産業の12倍に及ぶ。また、その多くは雇用機会の少ない地方で雇用されている。
2024年9月に発表された、チューリッヒ保険グループとコンサルタント会社マンダラ(Mandala)による報告書によると、オーストラリアの主要な観光資源178か所の半数が、今後の気候変動によるリスクにさらされている。
しかし、この調査結果は実際に直面している脅威を過小評価している可能性がある。
主要空港の閉鎖、国立公園での被害などが直面するリスク
チューリッヒとマンダラの報告書は、地球の気温が2度上昇した場合の「気候的脅威」として、風、洪水、熱波、嵐、干ばつ、森林火災、ひょう、そして降雨の8つの要素に焦点を当てている。
その結果、今後25年間でオーストラリアの主要な観光資源の半数以上が「複数の脅威による重大なリスク」に直面するとされており、これにはオーストラリアの主要空港すべてが含まれる。
異常気象により空港の閉鎖や運航の混乱が発生することで、物資や観光客の輸送、さらには緊急サービスにも重大な影響が及ぶと予測されている。
また、オーストラリアのブドウ園、国立公園、景色のいい道路、鉄道網もリスクにさらされている。
特に、クイーンズランド州は観光資源の79%が重大なリスクに直面しており、西オーストラリア州(69%)や北部準州(63%)がそれに続く。
2019-20年のオーストラリア森林火災(通称「The Black Summer Bushfires」)の影響を元に推定すると、全国で気候変動で約17万6,000人の雇用が危機にさらされており、そのほとんどがオーストラリアの主要都市圏外にある。
複数の脅威が連鎖して発生
私がこの報告書の見解が過小評価されていると感じる理由は、風、洪水、熱波、嵐、干ばつ、森林火災、ひょう、雨以上に、気候変動が観光業に与える脅威があるからだ。
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