Excelも社内SNSもそのまま AIを後付け実装 Incertoが建設業向け業務AI導入支援開始
Incerto合同会社(本社:東京都荒川区、代表:佐藤碧人)は、建設業特有の課題を解決する「業務AI導入支援サービス」の提供を2026年5月8日に開始した。本サービスは、見積もり、工程管理、現場DX、原価管理の4領域を対象とし、企業の既存ワークフローを置き換えずに、AI機能をカスタム実装する点が特徴である。
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既存のExcelやSaaSを活かした「後付け」設計
建設業界では、1997年の685万人をピークに就業者数が減少を続け、近年は480万人規模で推移している(厚生労働省・国土交通省統計より)。慢性的な人手不足に加え、2024年4月から施行された時間外労働の上限規制により、現場の生産性向上は継続的な経営課題となっている。
従来の建設業向けSaaSは、自社のExcelテンプレートや元請の様式、現場慣習に合わず、結果として一部機能のみ使われるか定着せず形骸化する事態が広く観察されてきた。Incertoは、工務店や専門工事業者(内装・設備・大工・鉄筋・鳶 等)、ゼネコン、リフォーム会社などが培ってきたベテランの判断・職人ネットワーク・元請との関係性を経営の中核資産として尊重。既存のExcel(見積書・実行予算書・原価管理)、施工管理表、社内Slack/LINE WORKS等をそのまま活用しながら、必要な箇所にAIを組み込むアプローチを採用した。
4つの主要対応領域
導入企業へのヒアリングに基づき、ボトルネックとなっている領域をカスタム実装する。見積もり業務AIでは、図面(紙・PDF)からの数量拾い出し、メーカー定価表(建材・建具・設備機器)や歩掛単価、自社の蓄積単価を品番・工種から即時参照する機能、相場と仕入れ価格(仕入れ条件・掛け率を含む)の提示、過去の類似工事の参照、既存のExcelテンプレートや元請の様式に流し込む見積書・内訳書のドラフト生成を行う。
工程管理AIでは、過去案件のリードタイム見積、職人選定、資材手配、トラブル対応のパターンを学習し、新規案件で参照可能にする。現場の日報・週報を整理し、進捗・遅延要因・元請への報告内容を社内Slack/LINE WORKS等へ自動展開することを支援する。
現場DXでは、施工計画書から工程表、日報、写真台帳、完成書類までを一連でつなぎ、同じ情報を一度入力すれば下流書類に自動展開する仕組みを構築する。スマートフォン撮影による現場の3Dモデル化により、遠隔での進捗確認や引渡し記録、リフォーム前の現状把握、施工後の差異確認などに活用できる。
原価管理AIでは、見積もり、実行予算、実行原価を連動させ、案件別の利益率を可視化する。実行原価の実績を次回見積もりに反映し、歩掛・単価の精度を継続的に高めるサイクルを構築する。
段階的な導入
本サービスは全社一斉の大規模導入を前提とせず、一業務領域、特定の工種、必要な機能モジュールのみといった、対象企業の規模・段階に応じた段階導入が可能。AIは判断を肩代わりするのではなく、判断の根拠と確認観点を整理して提示する役割に留め、最終的な見積もり・段取り・原価判断・元請への報告は、事業者側の経営者・現場代理人・担当者が行う設計とすることで、業務責任の所在を事業者側に保つ。
建設業では拾い出し・歩掛の判断、見積もりの最終確定、職人選定・段取り、元請との単価交渉などが経営者・ベテラン個人の経験に集中しており、属人化が事業承継・若手育成の壁となってきた。本サービスはこうした構造的課題に既存ワークフローに沿った形で応えていく。