COP29の成果と今後の動向 3000億ドルの資金合意や国際炭素取引市場
(※本記事は『THE CONVERSATION』に2024年11月24日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

今年の国連気候サミットであるCOP29(国連気候変動枠組条約第29回締約国会議)が、アゼルバイジャン・バクーで2週間にわたり開催され、ようやくその幕が下ろされた。気候科学者、各国首脳、ロビイスト、代表団はそれぞれ帰路に就いている。
この会議は段階的な進展を遂げた。交渉担当者たちは、2035年までに年間少なくとも3000億ドル(4600億豪ドル)の気候変動対策資金目標を新たに設定することで合意した。現在の1000億ドルから大幅に増額された。この資金は、途上国が化石燃料からの脱却を進め、温暖化する気候に適応し、気候災害による損失や被害に対応する支援となるだろう。
各国は2015年のパリ協定を完全に実行可能にするために必要な最終合意として、国際炭素取引市場の基本的なルールにも合意した。
最終セッションで、「COP29ではパリ協定が気候行動において成果を上げていることが示された」と国連気候変動担当チーフのサイモン・スティール氏は述べた。しかし、各国政府は「まだペースを上げる必要がある」と指摘した。
私は国際気候法と訴訟の専門家としてCOP29に参加し、資金交渉を直接傍聴したほか、国際的な気候協力を支援するオーストラリアおよび太平洋諸国の大学連盟を代表した。
開始時点では会議に対する期待は低かった。米国では気候変動政策否定派であるドナルド・トランプ氏が再選を決めたばかりだった。また、アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領は開会式で石油とガスを「神の贈り物」と述べていた。
しかし、これらの大きな逆風にもかかわらず進展が見られた。
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