暗号資産の長期保有者が直面するセキュリティの矛盾

暗号資産の運用スタイルにおいて、短期的な価格変動を気にせず数年単位で資産を持ち続けるガチホと呼ばれる長期保有は、非常にシンプルでありながら効果的な戦略として定着している。しかし、その安全な保管体制という大前提が揺らいでいる実態が調査によって浮かび上がった。

株式会社Clabo公式プレスリリースより

株式会社Claboが暗号資産投資経験者746名を対象に実施した投資スタイル別の資産保管方法およびセキュリティ対策に関する実態調査によると、回答者の30.3パーセントにあたる226人を占める最大勢力の長期保有派において、実に59.3パーセントが長期保有資産を暗号資産取引所に置いたままにしていることが判明した。

高いセキュリティ意識と放置される資産

今回の調査結果で最も特徴的なのは、長期保有派の防衛意識の高さと実際の行動との間にある奇妙な乖離である。

長期保有派における二段階認証の全サービス設定率は45.1パーセントに達しており、これはすべての投資スタイルの中で最も高い数値を記録した。さらに、ハードウェアウォレットの所有率も46.9パーセントと高い水準を維持しており、セキュリティに対する知識や関心は決して低くない。

それにもかかわらず、長期保有資産の約6割が取引所に据え置かれた状態にある。この鍵はしっかりと閉めるが金庫そのものの場所は他人に委ねるという二重構造の罠は、長期保有派の投資家が直面している大きなリスクといえる。

自己管理ウォレットへ移行しない背景 長期保有派の45.1パーセントにあたる226人中102人が、暗号資産を購入してから一度も個人のウォレットへ資産を移行したことがないと回答した。

このような移行未経験率の高さの背景には、手続きに伴う心理的および技術的な障壁が存在する。シードフレーズの適切な管理や送金時のネットワーク選択、テスト送金の実施など、個人ウォレットの運用プロセスは初心者にとってハードルが高く感じられやすい。その結果、移行作業を後回しにしているうちに保有期間が長期化し、最終的に取引所への放置につながっている可能性が指摘されている。

保有期間が長くなるほど、取引所のハッキングや破綻、出金停止といった外部リスクに晒される時間も蓄積していく。ベテラン層である投資歴5年以上の投資家であっても59.4パーセントが取引所で資産を保管している事実を鑑みると、この問題は決して一部の初心者層だけに限られた傾向ではない。

実際に発生している資金喪失被害

今回のレポートでは、長期保有派の53.1パーセントがこれまでに詐欺やフィッシングサイトへの遭遇経験を持ち、さらに9.7パーセントが実際に資金を喪失する被害に遭っている現実も明かされた。動かさないという運用方針がリスク対策の手間を惜しむという状態にすり替わってしまえば、長期的な資産形成の足元をすくわれかねない。

株式会社Claboでは、こうしたセキュリティ対策やウォレットの保全手順、復旧に関する初回の無料相談窓口を設けている。また、詐欺被害などのトラブルに遭遇した場合は、警察相談専用電話のシャープ9110や、消費者ホットラインの188、詐欺的な投資に関する相談ダイヤルの0570-050-588といった公的機関への相談も推奨される。

長期的なリターンを目指すからこそ、最初の数十分の作業を惜しまずに強固な自己管理体制を構築することが、真の安全を確保するための必須条件となる。

今回の調査は株式会社Claboにより2026年4月10日に実施された。調査方法はインターネット調査となっており、国内在住の男女で暗号資産への投資経験がある層を対象としている。有効回答数は746名である。