テクノポート福井の産業団地GX 企業連携で進む脱炭素の現在地と次の一手

(※本記事は経済産業省近畿経済産業局が運営する「公式Note」に2026年4月7日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

産業団地からはじめるGX|Vol.3 テクノポート福井のGX――現在地と次の一歩

今回はテクノポート福井企業協議会GX推進委員会の入居企業の皆さんにお話を伺いました。広大な産業団地「テクノポート福井」を中心に進む、企業のGXの歩みを追いました。

テクノポート福井企業協議会は、企業同士をつなぎ、課題を共有し、地域とともに発展するための“団地のハブ”となる組織です。テクノポート福井企業協議会は2025年の春、新たにGX推進委員会を発足しました。

テクノポート福井

1|GX推進委員会発足のきっかけ

テクノポート福井は、近畿・中部エリア最大の産業団地です。団地内には80社以上の企業が立地しています。そんな産業団地でのGXは決して大々的にスタートしたものではありません。テクノポート福井企業協議会としてのGXの第一歩は、行政主催の産業団地をテーマにしたGXの勉強会へ立地企業に参加を呼びかけることだったといいます。

「専門部会を立ち上げて立地企業にGXの情報提供ができる場が必要ではないか」

実際に参加を促すと、想像以上の反応がありました。会場に集まった企業をみて、GXの情報を持ち寄る場が必要だという認識がテクノポート福井企業協議会の中に生まれ、これがGX推進委員会の立ち上げのきっかけになります。

次に行ったのはGX推進委員会のメンバー集めです。産業団地の企業は日頃から本業や協議会活動で関わりがある企業ばかりで、声かけができる関係性は既にありました。

「GXの必要性は理解しているが、何からしたらいいのか分からない」

「個社でできる省エネはやってきた。次の一手のヒントがほしい」

勉強会に参加した企業を中心に声をかけてみると、企業からGX推進委員会へは様々な期待があったと言います。GXに取り組む必要性は理解しているものの、どうしたらいいのか知りたいという素朴な好奇心から、これまでの省エネや運用改善などをコツコツ行ってきたがゆえの限界を感じている企業。

「団地内の企業が繋がることで得られるものがあるのでは?」

そんな企業の期待と行政の働きかけが重なり、2025年度、GX推進委員会は発足されました。

GX推進委員会

2|GX推進委員会の活動意義と、実際に取り組んで見えてきたこと

GXの各社の取組が様々なテクノポート福井の企業にとって、GXに向き合う理由(=活動の意義)はそもそも同じではありません。

「個社ではある程度やってきた。次の一手のヒントがほしい」

「GXの知識の底上げができればいい」

中長期の産業団地の魅力向上(ブランド・採用・誘致)を期待する企業があれば、足下の操業安定やコスト抑制を最優先とする企業もある。さらに、「まずはGXの世の中の動向を知りたい」という段階の企業もいれば、「次の投資判断のヒントが欲しい」という企業もいる。──“意義”の置きどころが違います。この“意義の違い”は、そのまま委員会に期待する役割の違いとして現れています。

  • GXに関する「ヒント」や「具体例」に触れられる場をつくる
  • GXに関心はあるが動き切れていない企業が「参加しやすい入り口」を用意する
  • 外部の様々な機関との“橋渡し役”になる

つまり、各社の「なぜやるのか」に応じて、「委員会はどうあるべきか」も揺らぐという構図でありました。

発足一年目、委員会は2回の会合を実施し、初回は委員選定と進め方の整理、二回目はCO2削減の実例を扱う勉強会を行いました。さらに、産業団地GXの先進事例の見学など外部知見と接点を持つ機会を確保しました。少しずつではあるが着実に、“GXの話をする場”が団地内に根づき始めたことは確かです。

「本業で手いっぱいだからこそ、“ヒントがある場”はありがたい」

「委員会が旗を振るのではなく、動きたい企業が動けるよう後方支援を」

そのうえで見えてきたのは、意義の多様性を前提に運営するしかないという現実です。委員会が単一の答えを提示して企業を一律に束ねるではなく、それぞれの意義・段階に応じて受け皿を用意し、各社が自分のペースで進める余白を保つ。この“無理にそろえない”設計こそが、テクノポート福井らしい委員会のあり方として輪郭を帯びてきました。

GX推進委員会

3|次の一手として/まとめ

本インタビューを通じて見えてきたのは、各社がGXに向き合う理由は違っていても、「各企業においてもGXは前に進めていく必要がある」という認識と、「委員会に加入する企業を増やしていく必要性」が共有されているということです。

「会員企業にはもっと集まってもらうのが解決先のひとつ」

中長期の産業団地の価値向上を期待する企業、足下の操業やコスト削減に軸足を置く企業、まずは基礎から学びたい企業──GXに対する現在地は異なり、その違いがあるからこそ、委員会に求める役割も一様ではありません。

一方で、委員会への参加企業が増えれば、各社の情報やニーズが集まり、共通する課題を起点に企業間の新たな取り組みが生まれる可能性がある。つまりGX推進委員会は、立地企業がGXに踏み出す“きっかけの場”として機能しうるのです。

「近くの企業に相談できる、聞いたらヒントになるという土壌ができる」

きっかけの場として機能し、テクノポート福井にて企業単位や企業連携による取組が活発に行われる。その先にあるのは、テクノポート福井で操業すること自体の価値の向上です。取り組みの内容によっては、産業団地の防災・減災の実効性や、企業価値の向上にもつながる──GX推進委員会はそう捉えています。

テクノポート福井

4|インタビューを終えて

産業団地の立地企業は、業種や規模、エネルギー使用形態が異なり、各社GXの考え方が異なるのは当然です。しかし、産業団地という“隣接したエネルギー需要が集まる環境”では、個社の取り組みだけでは越えにくいエネルギー利用上の限界や制約を、近隣企業と連携することで補い合い、解決につなげられる可能性があります。

近隣の企業と取り組みを組み合わせることで、個社単位では実現し得ない効果や規模のメリットを生み出せる──それが、産業団地GXならではの特徴です。

さらにそれは、GXの優先度が必ずしも高くない企業にとっても、連携に参画することで同様の恩恵にアクセスできる可能性を意味します。

まだ始まったばかりのテクノポート福井のGXの取組ですが、こうした委員会活動を通じた地道で確実な積み上げこそが、産業団地全体のGXを後押しし、産業団地としての価値を着実に押し上げていくはずです。

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近畿経済産業局 公式note