つながりのデータに基づくビジネス支援 名刺情報で地域活性化

自治体DXでは、市民サービス向上という目に見える成果が求められる。Sansanでは、オンライン時代におけるビジネスの接点情報を分析し、自治体と地域事業者の連携や、地元経済の活性化への貢献を目指す。

荒澤 勇太(Sansan ビジネス統括本部 金融・公共営業部 チームリーダー)

法人向け名刺管理サービスを提供するSansan。同社ビジネス統括本部/金融・公共営業部のチームリーダー荒澤勇太氏が、Sansanのソリューションを活用した実効性の高い業務デジタル化と、そこから広がるビジネスの可能性について、自治体での活用事例をまじえて説明した。

政府は「デジタルの活用によって一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会」「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」を掲げている。一方で自治体に求められるDXは、行政サービスにデジタル・システムを取り入れることで、住民サービスの利便性がより向上し、職員が生産性の高い働き方を実現できるようなもの。公共リソースを投下する以上、さらなるサービス向上の実現が求められる。

また、自治体が保有するデータがオープンデータなどとして流通することにより、地域や企業との連携が進むと期待される。これによる新たな価値創造も、市民が求めるところだ。

Sansanが創業当初から提供する名刺管理サービス「Sansan」は、紙の名刺をデジタル化することで、生産性向上や新たな価値創造を実現。このサービスをベースに蓄積された名刺データを分析・活用することで企業の情報や人と人のつながりの情報など、ビジネスシーンで活用できる価値ある情報を生み出しているのが、Sansanのデータ統括組織DSOCだ。

名刺が浮き彫りにする地域の人脈

Sansanと釜石市は、2021年9月に地域の人のつながりを研究する実証実験を開始した。岩手県釜石市は、多様な人材が還流し、新たな事業機会や市民活動が生み出され好循環となることを目的とした「釜石市オープンシティ戦略」を2015年に策定した。2017年には「SDGs(持続可能な開発目標)」の視点も盛り込んでいる。DSOCでは、これらの取り組みを、統計処理された名刺交換データを元に推進しようとしている。実証実験は、同市と他の市区町村のビジネス上のつながりを可視化する「ビジネス関係人口」の分析を目標とした。

具体的には、ビジネス関係人口定期レポートを作成し、関係者と議論するとともに、地域の最新のビジネス関係人口の推移、ベンチマーク自治体や近隣自治体、比較類似自治体との比較、関係の強い・弱い業界の把握、その他のデータ可視化などの取り組みを予定している。

これらを通して、釜石市の企業の名刺交換データのトレンドを分析し、ビジネスの観点で有効であった行政の施策の発掘、データによる裏付けに寄与していく。また、関係の強い業界、弱い業界を名刺交換のネットワークから分析することで、エビデンスに基づいた行政判断を後押しする。

自治体においては、人脈の共有が新しい仕事に繋がる。例えば、企業誘致で名刺交換をした相手が、企業誘致としてはすぐに進まなくても産業振興では重宝される人脈だったりする、など。荒澤氏は「DSOCが生み出す人脈活用は今後、地方創生に大きく貢献するものと考えられます」と結んだ。

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