ブルースタジオ まちづくりと脱炭素 消費者を当事者に
住環境の改善は「2050年ネットゼロ」を実現する上で重要だ。建物から街区までのリノベーションを手掛けるブルースタジオの大島芳彦氏は、脱炭素だけにとらわれない、空間資源の有効活用を強調する。地域の様々な資源をシェアできれば、住民が当事者として課題の解決に貢献できる。
リノベーションを通じて
空間という社会資源を生かす
――地球環境の課題に住環境の側面から取り組んでいらっしゃいます。最も身近にある住宅という切り口から、生活者はいかに脱炭素に取り組むべきでしょうか。
大島芳彦氏 人々に住居を供給する住宅産業では、プロダクトベースの脱炭素化が進んでいます。断熱性を上げる、太陽光発電によりエネルギーを創出する、等です。モノの選択肢が増える一方で、建物の使い方や住まい方の面まではあまり考えが及んでいないところが多いのではないかと思います。
ブルースタジオではリノベーションを手掛けていますが、「これはリフォームとは違うものだ」と繰り返し主張しています。リフォームは建物の修繕の延長にあり、ハードウェアを更新して今ある課題を解決しようというアプローチです。これに対しリノベーションは、単体の空間資源としての場をいかに地域資源として効果的に活用できるようにするか、という発想から取り組んでいきます。場を有効に活用するためにその場の社会における多角的な背景や文脈、潜在力を検証し、その価値の断片を最も効果的な方法で再編集するという方法活で進めています。
脱炭素については、このような多角的な見方の1つの重要な側面になっているのではないかと思います。例えば、現在日本で主流になっている、小さな家族が一軒の家を使うという住まい方の解釈です。これがいかにエネルギーの効率的な利用を妨げているかは、実際には大きなテーマなのではないでしょうか。さらに、核家族の両親はいずれ高齢者になり、家の中で孤立していく、という問題も生じます。その人たちに対し、一戸ごとの介護サービス提供を維持できるのか。福祉の観点からも、1人が1つの建物にいることはロスが大きい。共助の関係をもとに集まって住んでもらうような方法があれば、脱炭素も高齢者福祉も実現できる。できる限り集まって住むことで、エネルギーも社会サービス資源も合理的に皆でシェアできるわけです。
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