デジタルヘルス社会実装へ 医療・ヘルスケアビジネスの販売戦略

医学・行政・ビジネスの観点から医療・ヘルスケア業界の事業戦略を考える本連載。近年、医療DXなどへの需要の高まりもあって資金調達を行う医療ベンチャーが増えている。しかし投資は持続可能な資金ではない。プロダクト開発の先にある販売戦略が重要だ。

ベンチャー初期の資金繰りで
重要な視点

当たり前の話ですが、企業が商品を創って、顧客がその商品を買うことで企業に収益が生じ、社員への給料支払や次なる商品開発への投資を行うことができます。ただ、このように事業を進めようとすると最初の段階である「企業が商品を創る」ためのお金が必要になります。企業としては人材紹介やソフトウェアの受託開発などをはじめとする「すぐにお金になる仕事」を先に行って、「商品を創る」ためのお金を集める方法もありますが、この方法ではお金が集まるまで大きな挑戦を行うことができません。また、そうやって集めたお金の額が、どれだけ大きな商品開発や事業を行えるかを規定してしまいます。

近年、最初の「企業が商品を創る」ためのお金の集め方として、ベンチャー企業が将来の大いなる成長を期待されて投資家(ベンチャーキャピタルや事業会社)から資金調達を行うことも増えてきました。

これはベンチャー企業がお金を投資という形で先に集めることができるため、最初の「商品を創る」ためのお金を集める時間や労力をショートカットでき、最初から大きな挑戦を行うことができるからです。ただし、この投資から得た最初のお金は、あくまでも投資によるお金であるので、実際にその企業が商品の販売を行って顧客から収益を得るというビジネスを行うことによって生み出したお金ではありません。

本来なら、自社で稼いだお金から社員の給料や商品の開発費が払われることが通常ですが、わかりやすいようにこう書いてしまうと、「他人からの期待されたお金」をもとに、社員の給料や商品の開発費用が払われているだけであって、自社自身でお金を稼ぐことはできていない状態です。そのため、自社自身で商品を売ってお金を稼ぐことが必要なのです。

医療・ヘルスケア系ベンチャーでは製品・サービスの「開発」に経営の比重が置かれることが多いが、持続的な価値提供のためには出口である「販売」戦略を固めておくことも重要だ

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