野菜収穫ロボをサービス展開 「RaaS」で農家の収益性を向上
AI農業ロボットで農家が抱える課題を解決し、データを活用した持続可能な農業の確立を目指すinaho。日本とオランダに拠点を置き、日本の農業だけでなく、世界の農業にイノベーションを起こそうとしている。
農家の収益性を向上させる
定額制レンタルロボット
inahoは、野菜収穫ロボットサービス事業を柱に、農作業の合理化による人手不足の解消や、ロボットが取得するデータを活用した経営改善など、農業のスマート化に取り組む企業だ。創業は2017年。代表取締役CEO菱木豊氏が、AIを活用したビジネス展開を模索している時に、たまたま農家の話を聞いたことが創業のきっかけになった。
「農産物は一括収穫と選択収穫の2種類に分かれます。米などの作物はコンバインなどで一括収穫しますが、トマトやアスパラガスなどの野菜は成長の度合いを見ながら1つずつ収穫します。しかもしゃがんで行う完全手作業で、かなりの重労働です。そういう部分にロボットを導入すれば、農業に大きなイノベーションを起こせるのではないかと着想しました」
収穫作業は全体の年間作業時間のうち約6割を占める。しかも収穫期は毎日収穫する必要がある。農業では農地を広げれば売上は伸びるが、その分収穫作業に人手が必要になる。だが、収穫作業が無い期間が3~4カ月もあるため、通年で人を雇用するのは難しく、安定的に人手を確保できないことが農家の課題になっていた。
そうした農家にinahoは必要なタイミングでロボットを提供する。しかもロボットを販売するのではなく、月額でレンタルする「RaaS(Robot as a service)」というビジネスモデルをとっている。このシステムで農家はロボットの導入費用を抑えて、必要な時だけ利用できる。メンテナンスは全国にネットワークを持つ企業とアライアンスを組むことで全国対応の体制を整えている。
「ロボットを導入すれば、雇用問題を解決して人件費などのコストを削減し、効率よく農作物の管理ができるようになります。売上を上げるために農地を拡大したり、新しい販路を開拓したりする時間も生まれます。また、栽培方法自体を変更することで、従来の栽培方法と比較して、3倍ちかい生産性を出せるようになった例もあります。このように農業分野にはやり方次第で生産性を上げられる余地がたくさんあります」
オランダ・ボスマン社と提携
データ活用で農業を効率化
inahoの収穫ロボットは、画像認識などのセンシング技術で収穫適期の作物の色や大きさを判断し、最適なタイミングで収穫を行う。また、畑の中を自動走行しながら作物の様子を観察してデータを収集することができる。
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