山中商事/稲継工務店 目指すは住まう人と共に歩むまちづくり
京都市左京区に誕生した全14戸の脱炭素街区「composition colors iwakura」。完成以前から問い合わせも多く、販売状況は好調だ。この街区を手掛けた山中商事グループの稲継工務店 代表取締役の山中拓哉氏は、建てて終わりではなく、住民と共に持続的なまちづくりに挑戦しようとしている。
不動産業界と建築業界
密接ながら似て非なるもの
創立60周年を迎える山中商事は山中拓哉氏の祖父が京都市で立ち上げた会社だ。当初は養鶏場なども手掛けていたが、高度経済成長期に沸くなかで住宅産業に参入。現在は不動産開発を主たる事業としている。山中氏は兄とともに山中商事で仕事をしていたが、建築に興味が広がり、2015年から夜間の専門学校に通い始めた。
「きっかけは上物である建築を学べば会社に貢献できると思ったことでしたが、建築の世界は新鮮でした。不動産業界と建築業界は密接な関係ながら背中合わせのところがあります。不動産という資産を取引する上では立地が最大の価値を持つため、建築物は二の次のような感覚で、そこに違和感を抱くようになりました」
2019年、祖父の代から交流があった稲継工務店を第三者事業承継することとなり、山中氏は山中商事のグループ会社となった稲継工務店の代表取締役に就任した。建築の学びを生かせる場が拓けたが、経営の経験がなかったことから、山中氏は事業構想大学院大学(MPD)大阪校に進学。入学後はそれまで交わることのなかった業種の人々の交流が各段に増えた。マーケティングやクリエイティブ発想法など、各分野の専門家に学び、院生同士でディスカッションを交わす。「日々新しいことに気づき、真っ白いノートが真っ黒になっていくような感覚」だったという。
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