武蔵ワイナリー 埼玉県を無農薬ワインの聖地にする

埼玉県小川町の耕作放棄地を開墾し、完全無農薬・無肥料で栽培したブドウで、究極のナチュラルワインを醸造する武蔵ワイナリー。代表の福島有造氏に、金融・不動産の世界から転身した動機や、ゼロから始めたブドウ栽培で定説を覆す手法にたどり着くまでの経緯、今後の構想などを聞いた。

福島 有造(武蔵ワイナリー株式会社 代表取締役)

日本酒造りのノウハウを
ワイン醸造に活かす

埼玉県のほぼ中央に位置する小川町。緑豊かな外秩父の山々に囲まれた盆地からなり、槻川、兜川、市野川という河川を有している。江戸時代には紙漉きや酒造業が発達し、近年は有機農業のまちとして知られている。

「前職は不動産関連会社を経営していましたが、それを畳み、最低最悪の産業である農業、とりわけ有機農業を始めようと調べていくうちに、小川町を知りました。小さな町ですが3つも日本酒の酒蔵があり、そのうちの1つの蔵人になりました。2015年に運良く杜氏に就任しましたが、他の酒蔵だったら杜氏として働くことはできなかったので、巡り合わせとしか言いようがありません。日本酒造りの現場で技術と衛生管理のノウハウを培ったことが、ワイン醸造に挑む時に、私独自の強みになりました」と語るのは、武蔵ワイナリー代表の福島有造氏だ。

福島氏は、金融・不動産業での経験を生かし、あえて未知の分野で主流とは違うビジネスを展開したいと考え、有機農業に目をつけたという。

「農業の専門誌を読み漁り、有機農業に力を入れる小川町にマイクロブルワリーがあることを知りました。他にも気になった地域はありましたが、行こうとする度に子どもが熱を出すなど何かしら邪魔が入り、タイミングが合いませんでした。しかし、小川町は、訪問しようとしたら翌日に小川町有機農業学校の面接を受けることになったり、農業の研修先もすぐに決まったりと、トントン拍子にことが進み、引き寄せられる感じでしたね」

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