スーパーマーケット対決! ライフ VS. マルエツ
消費者の生活に欠かせないスーパーマーケットは、物価の高騰、労働力の不足・高齢化など、社会変化の影響をダイレクトに受ける業種でもある。データ活用やOMOをはじめ様々な対応が進む中、大手2社はどう取り組んでいるのか。
愛され、選ばれるスーパーを目指して改革を繰り返す大手2社
2023年、全国のスーパーマーケット店舗数は前年比50店増の2万3000店を数え、総販売額は26兆円に迫る。言うまでもなく、スーパーは消費生活を支える重要なインフラだ。それだけに、労働力の不足・高齢化、国際情勢、環境問題といった社会の変化の影響をダイレクトに反映し、またこれに柔軟に対応する必要がある。既に電子マネー導入率は約80%、セルフ精算レジ導入率は78%に達し、約49%が配送サービスを実施するなど、日常の買物風景は様変わりした。スーパーは今、どのような未来を描くのか。売上高3位のライフ、6位のマルエツ、2社の戦略にその一端を見る。
ライフの創業は1910年。1956年に食品販売やフルーツの輸入販売を開始し、1961年、大阪府豊中市に1号店を開店、1971年に首都圏へ進出した。現在、近畿圏に167店、首都圏に142店を展開し、「ライフ」の他、高感度な情報発信を行う「セントラルスクエア」、健康・自然志向商品を展開する「BIO-RAL」(ビオラル)という業態も持つ。
現在、2023年度から26年度にわたる「第7次中期経営計画」を進めており、その先の2030年度に「目指す姿」として、利用者から「私のスーパー」と言われるような「地域密着型スーパー」を掲げ、財務面では売上高1兆円、経常利益350億円、当期純利益220億円、店舗数400店を目標とする。具体的な施策を見ると、まず「人への投資」として、従業員の成長・活躍機会を強化してESを4.0レベルまで向上させることを目指す。それに次ぐテーマ「同質化競争からの脱却」では、ライフでしか購入できない商品の安定供給を目指し、AIでの需要予測やデータ/システム活用などによる生産性向上を通じて目標達成を期す。そのために、作業、職場、モチベーション、業績、処遇それぞれの「カイゼン」を進め、カイゼンの好循環を実現したい考えだ。
一方、マルエツは、1945年に「魚悦商店」として現在のさいたま市で創業。1970年に都内へ進出し、現在は関東圏に304店を展開する。2007年にイオン、丸紅と提携し、2015年、カスミ、マックスバリュ関東とともに「ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス」(以下「USMH」)を設立、グループ全体の店舗数は530店となっている。
そのUSMHでは今、「第3次中期計画」を進め、2025年度売上高7500億円、営業利益220億円などの目標を掲げる。その実現に向けて重視するのは「3つの成長エンジン」だ。第1のエンジン「商品/店舗変革」では、消費の伸びや安定消費が見込まれる領域に合わせた品揃えなどを推進し、店舗収益を拡大する。第2のエンジン「アウトサイドデジタル」では、オンラインデリバリー、移動店舗、無人店舗など店舗外収益の拡大、OMO(オンライン/オフラインの融合)強化を目指す。第3のエンジン「ビジネス領域拡大」では、オンライン宅配アプリや植物工場など、現在展開中の知財・ノウハウを新事業に結びつけ、連結営業利益10〜15%の事業に成長させる。
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