「バランスボール」で自治体職員の健康増進を支援

フィットネスクラブ運営の東急スポーツオアシスは、自社開発のバランスボールを自治体の職場向けに提案。椅子代わりに利用することで、腰痛や肩こりを改善する効果が認められ、導入が急拡大している。導入自治体のひとつである千葉県習志野市に話を聞いた。

東急スポーツオアシスのバランスボールを導入した習志野市教育委員会生涯スポーツ課の職場風景

バランスボールを自治体が導入

日本人の一日の座り時間は7時間に達するという。長時間のデスクワークがその一因だが、座り時間が長いほど血流や代謝機能の低下から腰痛や肩こりが起こりやすく、肥満やメンタルの不調などの健康リスクを高めるとも言われている。そうした中、「バランスボール」の活用を通して、自治体や企業の健康経営をサポートしているのが東急スポーツオアシスだ。同社は、関東・関西を中心に会員制フィットネスクラブを運営する他、健康経営コンサルや家庭用健康器具の企画・開発、オンラインパーソナルトレーニングなどの幅広い事業を展開している。

牧之内 惇
東急スポーツオアシス ホームフィットネス事業部
ゼネラルマネージャー(左)、
三橋 智
習志野市教育委員会 生涯学習部
生涯スポーツ課 課長(右)

同社は、2022年2月から和歌山県田辺市役所でオアシス考案のバランスボールが導入されたことをきっかけに、自治体向けに職場の椅子代わりとして座るだけの「ながら運動」を提案している。「当社オリジナルのバランスボールは、軽めの有酸素運動から強度の強い筋トレまで活用できます。バランスボールは常に微細な揺れがあるため、バランスを取るために自然と体幹が鍛えられ、腰痛や肩こりの改善などが期待できます」と東急スポーツオアシス ホームフィットネス事業部ゼネラルマネージャーの牧之内惇氏は話す。

スタジオ用のバランスボールを家庭用に転用するにあたり、「転がるのが怖い」「使わないときに邪魔だ」といった声を参考にボールを固定するリングを付属して販売すると、予想以上に大きな反響があった。さらに、田辺市の真砂充敏市長が記者会見で職員の健康増進のためにバランスボールを使用していることを発表。これを機に同社には自治体からの問い合わせが急増し、2023年3月時点で同社のバランスボールを導入済みの自治体数は12に達した。田辺市役所が実施した使用後のアンケートでは、回答者 32 名中、19 名の過半数が不調の改善を実感していることが分かったという。

正しい姿勢で腰痛や肩こりを改善
導入前・後に手厚いサポート

市民の健康づくりに活かすべく、職員自らがバランスボールを使って健康増進に関する実証実験を行っているのが習志野市教育委員会生涯スポーツ課だ。「田辺市の話を聞き、生涯スポーツ課でも導入できないか、と思ったのがきっかけです。私自身が肩こりに悩まされていることや、コロナ禍で運動する機会が減っていたこともあり、バランスボールで職員の運動不足の改善と健康増進を同時に解決しつつ、その成果を市民の健康づくりに活かすことができれば一石三鳥だと考えました」と習志野市教育委員会 生涯学習部 生涯スポーツ課 課長の三橋智氏は話す。

総務部門からは転倒による公務災害のリスクを指摘されたが、「固定リングが付属しているため、この問題も難なくクリアし、希望者には自費で購入してもらう形で2022年11月から導入を開始しました」と三橋氏。

導入から半年後にアンケートを実施し、執務中でも効果的な運動につながるのかを検証すると、「正しい姿勢を意識して座るようになった」「肩こりや背中の張りが軽減した」など、半数が効果を感じていることが分かった。

「以前はマッサージに行った後もすぐにまたコリを感じていたのですが、バランスボールの使用から3ヶ月経った頃、『そういえば最近、首と肩の痛みがないな』と気がつきました」と話すのは、生涯スポーツ課の長束友希央氏。「背もたれがなくなったことで正しい姿勢を意識するようになり、それがコリの解消につながったのだと思います。子育てで忙しく、なかなか運動をする時間が作れませんが、バランスボールであれば職場での座り時間を運動時間に充てられるため、実証実験後も継続して利用しています」と話す。

一方で、効果を感じられなかった参加者からは「かえって腰が痛くなった」という声も上がった。牧之内氏は「普段使っていないインナーマッスルが活動を強いられることで腰が痛くなる人もいますが、これは一種の筋肉痛です。きちんと筋肉が鍛えられている証拠なので、姿勢を意識しながら継続して利用していただければ」と話す。

東急スポーツオアシスでは、バランスボールの導入を検討する自治体に対して、導入前から導入後まで手厚いサポートを行っていく。導入前では、無料相談やボールの健康増進効果に関する根拠資料の提出、サイズ確認用サンプル提供などを実施。導入後も、効果的な使用方法に関するウェビナー、カウンセリングなどを提供する。

ボールサイズは45cm、55cm、65cm、75cmの4種類を用意。カラーバリエーションも豊富で、職場に馴染みやすいブラックの人気が高い。ボールが大きく導入がしづらいという声に対しては、椅子の上などに置いて使え、ストレッチやエクササイズの効果があるドーム型クッション「ながらクッションDome」を提案している。

ながらクッションDome

ソフト面でも一層の充実を図る

導入を機に、東急スポーツオアシスとの協力関係を構築した習志野市教育委員会生涯スポーツ課は、健康づくりのプロであるオアシスには大きな期待を寄せていると三橋氏は話す。

「スポーツ経験のない市民に、いかにスポーツ・運動を始めてもらうかというのが生涯スポーツ課としての大きな課題です。新たにスポーツを始めてもらうには、トレーニングウェアや道具を購入して、ご自身に合ったスポーツを見つけてもらわなければならないなど、お金も時間もかかることがネックに感じていたのですが、オアシスとの会話の中で、制限時間内でごみを拾い、その量と質でポイントを競う『スポGOMI』を提案していただいことは目からウロコでした。今後も引き続き民間の発想力をお借りしながら、市民の健康づくりや生きがいづくりを支援していけたらと考えています」

一方、牧之内氏は今後の方針を「フィットネスクラブという運営母体の強みを全面的に押し出していく」と語る。「例えば、バランスボールの上で腰を回すだけでも、ストレッチと筋トレを同時に短時間で行うことができます。今後はお昼休みに参加できるよう、自治体向けにインストラクターによる5分間のストレッチ講座を配信するなど、ソフト面の充実を図り、継続的な利用につなげたいと思います」

 

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Mail:proshop@sportsoasis.jp

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