リアルタイムノレッジと実践の理論 実務家教員の知識生成

実務家教員とは、自らの実務領域において、専門的な知識や技能を持ち、それを教育や研究に活かす人々のことである。実務家教員は、実践現場で直面する課題や問題に対して、自らの経験や知見をもとに解決策を探るとともに、その過程で新たな知識を生成する。このような知識生成のプロセスは、実務家教員の専門性や資質を高めるだけでなく、社会や学問にも貢献する可能性を秘めている。

実務家教員が生成する知識について、筆者は2つあると考えている。一つは、今、まさに現場で必要とされている「リアルタイムノレッジ」と呼ばれるものである。いわゆる実践現場の最先端の知識といってよいだろう。もうひとつは、「実践の理論」である。実践の理論とは、自分の実務領域を構造化して取り出した知識であるといえる。これらの知識は、それぞれ異なる特徴や価値を持ち、実務家教員の活動に影響を与える。今回は、まずリアルタイムノレッジについて考える。

リアルタイムノレッジとは何か

リアルタイムノレッジとは、実務家教員が今まさに使っている知識である。すぐに役立つし、今の流行的な知識かもしれない。したがって、いま、この瞬間は必要とされるが、今後も継続して必要とされる知識とは限らない。別の言い方をすれば、生ものの知識 raw knowledgeである

リアルタイムノレッジは、実務家教員が実践現場で直面する課題や問題に対応するために、自らの経験や知見、あるいは他者から得た情報やアイデアを組み合わせて作り出す知識である。例えば、医療現場で働く実務家(教員)は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、患者の診断や治療に関する最新の知識やガイドラインを常に追いかけなければならない。このような知識は、科学的な根拠や検証が十分に行われていない場合もあるが、実務家にとっては、現場での判断や行動に必要な知識である。

リアルタイムノレッジは、実務家教員の専門性や資質を高めるというよりは、維持するための知識であるといえる。リアルタイムノレッジは、時代や環境の変化に対応するために、常に更新される必要がある。そのため、実務家教員は、自らの知識を常に見直し、修正し、補完することが求められる。リアルタイムノレッジは、実務家教員にとっては、必要不可欠な知識であるが、同時に、消耗品のような知識でもある。

リアルタイムノレッジとは何か

リアルタイムノレッジは、実務家教員にとっては、現場での課題や問題に対処するための即効性の高い知識である。そのため、リアルタイムノレッジは、実務家教員の実践能力や効率性を向上させるという価値を持つ。また、リアルタイムノレッジは、実務家教員が自らの実務領域における最新の動向や情報に敏感であることを示すという価値も持つ。このように、リアルタイムノレッジは、実務家教員のプロフェッショナルとしての信頼性や競争力を高めるという価値も持つ。

一方で、リアルタイムノレッジには、いくつかの課題も存在する。まず、リアルタイムノレッジは、科学的な根拠や検証が不十分な場合が多いという課題がある。実務家教員は、リアルタイムノレッジを使う際に、その正確性や妥当性について、自らの判断や責任を持たなければならない。そのため、リアルタイムノレッジは、実務家教員にとっては、リスクの高い知識でもある。次に、リアルタイムノレッジは、時代や環境の変化によって、すぐに陳腐化するという課題がある。実務家教員は、リアルタイムノレッジを使う際に、その有効性や適切性について、常に確認し、更新し、廃棄することが求められる。そのため、リアルタイムノレッジは、実務家教員にとっては、負担の大きい知識でもある。