フェムテック×健康経営 誰もが健康に働ける社会をつくる
コロナ禍により社会全体でヘルスケア領域への関心が高まっている。4月に新規開業したTHIRD CLINIC GINZA(サードクリニック ギンザ)は、女性医療を中心にすべての人へより身近に医療を提供することを目指す。院長に就任した三輪綾子氏に開院の背景と今後の構想を聞いた。
ヘルスリテラシーの啓発から
クリニック開業へ
蔓延防止等重点措置も解除され、往来に活気が戻りつつある東京・銀座に新しいコンセプトのクリニックがオープンした。
THIRD CLINIC GINZA(サードクリニック ギンザ)の院長を務める三輪綾子氏は札幌医科大学医学部卒業後、大学病院を中心に一貫して産婦人科医としての経験を積んできた。10年以上、女性特有の疾患に悩む患者と接する中で感じていたのは、ヘルスリテラシーが届かないために苦しむ女性が多いことだった。
「産婦人科医として診療する中で、『もう少し早く病院に来てくれたら…』と感じる患者さんに多く出会ってきました。また、疾患やその予防に関する情報が十分に広がらず、防げる疾患に罹患して辛い思いをする女性もいることに大きな葛藤を抱えていました」
こうした葛藤と向き合う中で、三輪氏は病院に来る患者を診るだけでは人々の健康増進にはつながらないという思いを強くしたという。病院に来る前の人々へもアプローチするためにまず取り組んだのは啓発活動だ。実業家の堀江貴文氏とも協力し、『予防医療普及協会』を設立。堀江氏ら医療とは別の領域の人物と活動するのは、普段医療に関心がないような層にも情報を届けたいと考えてのことだ。そして診療と並行して啓発活動を行う中で次の課題が現れる。
「検診や受診を勧めると、『じゃあどこを受診すればいいですか?』と聞かれるようになりました。当初は責任をもって診たいと思い、自分が勤務する病院などに案内していましたが、啓発を広げていくためにはもっと多くの人に来ていただける場所が必要だと感じました。SNSなどで接点のできた方には働く女性も多く、そうした方と実際につながるにはアクセスのよい場所がよいと考え、銀座を選びました」
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