LXで切り拓く持続可能な地域 『新時代LX』著者インタビュー

高知県は2006年から2018年の間に県民所得を20%(全国平均12.5%)、労働生産性を16%(同3.8%)成長させた。本書は、この飛躍の原動力となった高知県産業振興計画をモデルに、持続可能な地域づくりを目指した「ローカル・トランスフォーメーション(LX)」の考え方や具体例、実践方法などを詳細に解説している。編著者の受田浩之高知大学副学長は、高知県産業振興計画に策定段階から関わり、県と高知大学の連携による産業振興や人材育成をリードした人物だ。

――本書を執筆した狙いは。

008年に策定された高知県産業振興計画は、地域の住民や企業などの多くの方を巻き込み、そのやる気に火を点け、14年間で経済は飛躍的に蘇りました。課題解決先進県での取り組みや工夫を形に残すとともに、地方創生の陳腐化に悩む全国の自治体に、打開のヒントにして頂きたいという想いがあります。実際、本を読んで頂いたある自治体職員の方から「自分の活動に足りないものを発見できた」という嬉しい感想も頂いています。

もう1つの狙いは、大学の地域づくりへのコミットメントの重要性を解説することでした。本書で触れているように、LXには大学の存在が不可欠です。現在、文部科学省が「地域連携プラットフォーム」の構築を推進していますが、自治体と大学が徹底的に対話しない限り、プ絵に描いた餅に終わってしまいます。大学には行政と一体で地域づくりに取り組む覚悟と、それを担う人材が求められています。

――LX推進でのリーダーシップや人材の重要性を強調しています。

自治体首長のミッションは、持続可能な地域の構築であり、強いリーダーシップが必要不可欠です。一方、大学側の人材育成・配置も重要です。多くの大学は地域連携本部を置いていますが、幹部はわずか数年で異動してしまい、地域との信頼関係やネットワークが途絶えてしまうケースが少なくありません。ネットワークこそが地域連携プラットフォームの本質であり、専従人材の育成・配置が重要です。

――岸田新内閣が「デジタル田園都市国家構想」を打ち出したこともあり、地域のDXへの関心が高まっていますが、DXとLXの関係性とは。

LXとは徹底的な見える化戦略でもあり、高知県では様々な産業の暗黙知の形式知化を進めてきました。例えば農業分野では、園芸作物の整理・生育情報のAIによる可視化と利活用を実現する「IoP(Internet of Plants)」を推進しています。DXを使い倒し地域に変革を起こすことが、LXの実現にも繋がると考えています。

 

受田 浩之(うけだ・ひろゆき)
高知大学 理事(地域・国際・広報・IR担当)、副学長

 

『新時代LX
持続可能な地域の未来を切り拓く』

  1. 受田 浩之 編著
  2. 定価 本体1800円+税
  3. 南の風社
  4. 2021年10月

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