時事テーマから斬る自治体経営 「ウェルビーイング(Well-being)」の注意点

デジタル庁や企業・自治体等の取り組みにより、2022年頃から耳にする機会が増えた「ウェルビーイング」。自治体の場合は「住民のウェルビーイングの向上」を目指して様々なアクションを取っているが、ウェルビーイングが向上することにより、自治体には具体的にどのようなメリットがあるのだろうか。

近年、「ウェルビーイング(Well-being)」という言葉を耳にするようになってきた。ウェルビーイングは、「well(よい)」と「being(状態)」からなる言葉である。世界保健機関(WHO)は「身体的・精神的・社会的に良好な状態にあること」という趣旨で定義している。

ウェルビーイングを推しているのはデジタル庁である。同庁のホームページには「デジタル田園都市国家構想とは、『心ゆたかな暮らし』(Well-Being)と『持続可能な環境・社会・経済』(Sustainability)を実現していく構想です」と明記されている。デジタル庁は「地域幸福度(Well-Being)指標」を用意している。

筆者がウェルビーイングを考察していく中で、よくわからないことがある。私見を交えながら(毎回私見のオンパレードだが)、ウェルビーイングの注意点に言及する。筆者の見解であり、筆者が関わっている自治体の総意ではないことを付言しておく。

ウェルビーイングの注意点

自治体は、ウェルビーイングに関する取り組みを増やしている。いくつか新聞記事から言及する。A市は、住民のウェルビーイングの向上に寄与する政策を検討するため、庁内公募で選出された職員がチームを組み、半年間にわたり研究を行った。研究成果として市長への報告を行った。

B市は、住民の幸福度(ウェルビーイング)に関する意識調査を実施した。幸福度を高める要素を洗い出し、施策展開につなげていく。同調査は「B市で生活していて幸せを感じる時」や「最も理想的な生活」などの主観的な実感を記述式で答えてもらう。回答者に「自分が満たされている状態」を考えさせる内容にしている。そのほか、少なくない自治体がウェルビーイングに関して、何かしらのアクションを起こしている。筆者の関わっている自治体の中にも、ウェルビーイングに着目しているケースが多い。そして施策を展開することで、住民のウェルビーイングを高めようとしている。

全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。

  • 記事本文残り72%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。