海運企業対決 日本郵船vs商船三井 脱炭素と次世代船開発へ本腰

近年、厳しい状況が続いてきた海運業界は、コロナ禍による巣ごもり需要などで世界的にモノの動きが活発化したことで、一転して活況を呈している。脱炭素化への動きも加速する国内大手海運企業2社の動向を見る。

海運の未来に向けて、脱炭素と脱重油に注力する大手2社

近年、燃料高騰などで厳しい経営状況が続いてきた海運業界は、コロナ禍による巣ごもり需要の拡大でモノの動きが世界的に活発化したことなどもあって、一転、活況を呈している。

最大手の日本郵船は11月、2022年3月期連結業績予想を上方修正し、売上高を従来予想の1兆8500億円から2兆円に、純利益を5000億円から7100億円に引き上げた。業界第2位の商船三井も、三度目となる10月の上方修正で、売上高を1兆1000億円から1兆2200億円に見直した。

業績のV字回復で、海運の脱炭素化に向けた各社の取り組みにも弾みがつく。国際海事機関(IMO)が、船舶燃料のLNGや再生可能エネルギーへの転換によって、2050年までに二酸化炭素排出を50%削減、今世紀中のゼロ化を目指すなか、日本郵船、商船三井の両社は、2050年までのネットゼロエミッション達成を目標に掲げる。

日本郵船は2月に、脱炭素に関する行動指針「ESGストーリー」を発表して以降、LNG、バイオ燃料といった代替燃料への移行推進などを見据えた英国bpとの戦略的パートナーシップ締結、CCS(二酸化炭素回収・貯留)技術の利用促進を目指す国際シンクタンクへの加盟などを次々と発表。脱炭素に取り組むスタートアップの支援・育成にも乗り出した。

次世代船舶の開発に向けては6月、LNGを燃料とする自動車運搬船12隻を、2025年度以降に建造することを発表。10月には、造船会社、エンジンメーカーなど5者で国の「グリーンイノベーション基金」を活用してアンモニア燃料船を開発することも発表している。

商船三井は、脱炭素関連投資を従来から1000~2000億円上積みするほか、グループ全体で「環境・ゼロエミッション事業」を新規事業として推進・育成し、特に洋上風力発電に関する幅広いサービスの提供を目指す。2020年11月に始動した「ウインドハンタープロジェクト」では、風力航行のほか、風力発電で船内生産した水素を使って、燃料電池でプロペラを駆動するゼロエミッション船の実証実験にも成功した。

海運は国際貿易の中心であり、暮らしや産業を支える重要な役割を担う。大手海運各社には、世界的に高まる脱炭素化の巨大な潮流の先頭に立って環境対応を加速させていくという、さらに大きな役割が期待されている。

両社概要

日本郵船

設立 1885年
所在地 東京都千代田区
代表 長澤 仁志(代表取締役社長)
資本金 1, 443億円
従業員数 35, 057名(2020年度)
主な
事業内容と
国内
グループ会社
●定期船事業:一般消費財などを輸送するコンテナ船事業、
ターミナル運営(ユニエックスNCT、旭運輸、郵船港運 他)
●航空運送事業:北米・欧州・アジアとの国際航空貨物輸送(日本貨物航空)
●物流事業:海・陸・空にまたがる輸送・物流サービス(郵船ロジスティクス、近海郵船、カメリアライン 他)
● 不定期専用船事業:定期船以外の外航海運(NYKバルク・プロジェクト、旭海運 他)
●不動産業:保有不動産の有効活用(郵船不動産 他)

出典:ホームページ、有価証券報告書

 

商船三井

設立 1884年(大阪商船設立)
所在地 東京都港区
代表 橋本 剛(代表取締役社長)
資本金 654億円
従業員数 1,119名、グループ会社8,571名
主な
事業内容と
国内
グループ会社
●ドライバルク船サービス:鉄鉱石、石炭、穀物、木材
チップなどの乾貨物輸送(商船三井近海 他)
●エネルギー輸送サービス:原油、石油精製品、LNGの輸送、風力関連事業(エム・オー・エル・エルエヌジー輸送 他)
●製品輸送サービス:工業品、自動車などの輸送、フェリー、コンテナ船事業(宇徳、国際コンテナ輸送 他)
●関連事業サービス:客船、タグボート、ターミナル、陸運、
倉庫、不動産管理(ダイビル、商船三井客船 他)

出典:ホームページ、有価証券報告書

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