アワード受賞企業のSDGs経営 供給網の安定化が生む価値

〈第4回ジャパンSDGsアワード〉で特別賞を受賞したキミカ。アルギン酸という食品・医薬品などに欠かせない素材を供給する化学メーカーだ。本業の持続可能性を追求する姿勢は、資源保護や環境負荷低減・サプライチェーンの安定化にも寄与している。

宮島 千尋(キミカ 取締役 常務執行役員)

若手社員の声から、アワードに応募

キミカはアルギン酸製造のリーディングカンパニー。創業80年の老舗で、国内のシェアは9割を超える。アルギン酸は天然食物繊維の一種で、海藻から抽出される。海藻の"ネバネバ"のもとで、その粘性を活かし食品や医薬品、化粧品、繊維染色、鉄鋼などの分野で物性改良剤として利用される、製造現場に不可欠な素材だ。

同社の主力製品であるアルギン酸。原料採取から乾燥・精製段階において極力熱エネルギーや電力を使用せず製造しており、高品質と環境負荷低減の両立に努めている

事業の発端は、創業者である先代社長が、千葉県の房総半島に漂着する海藻の活用を考えたこと。当時アルギン酸の知見は国内外にほとんどなく、先代は独学で製造方法を確立。キミカの前身である君津化学工業を立ち上げ、当地の海藻を用いアルギン酸の製造を開始した。現在、海洋環境の変化等に伴い原料はチリ産となったが、製品は世界各地に輸出されている。

ジャパンSDGsアワードでは、同社のサステナブルな事業モデルが高く評価された。ものづくり企業という性質上環境負荷をゼロにすることはできないが、原料を安定的に調達し低コストで製品を供給し続けるためにさまざまな工夫をしてきたという。

アワードへの応募は、大学でSDGsを学んだ若手社員らの「自社の事業はSDGsに貢献している」との声がきっかけ。「挑戦はある意味"タダでできる"こと。また、当社には新しいことを積み重ねてきた歴史があります」と取締役常務執行役員 宮島千尋氏が話すように、挑戦をよしとする社風も応募の後押しとなった。

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