湯治文化を活かしながら滞在の選択肢を拡げ、温泉地をリゾートに

群馬県屈指の温泉地、四万温泉。近年は観光業の不振や人材不足で廃業に追い込まれる旅館も増えているが、昨年12月、従来の旅館業の枠にとらわれない新たな滞在を提案する宿、「スパゲストハウス ルルド」がオープンした。同宿を経営するエスアールケイの関社長に、これからの温泉地の在り方を聞いた。

関 良則(株式会社エスアールケイ 代表取締役社長)

四万温泉の連泊文化を
ゲストハウスの形で継承

四万温泉の「ゆずりは地区」に、2020年12月30日にオープンした「スパゲストハウス ルルド(以下、ルルド)」。廃業した大規模旅館をモダンにリノベーションした建物と、従来の旅館とは異なる泊食分離型のサービスが特徴の宿泊施設だ。

左より、「スパゲストハウス ルルド」のカフェ&ダイニング、24時間利用できるライブラリーコーナー、下、源泉掛け流しの温泉とモダンアートが融合した大浴場

予算や旅のプランに応じて利用者が食事やサービスを自由に組み合わせることができ、素泊まりで1泊6000円~とリーズナブル。1階には広々としたカフェ&ダイニングがあり、群馬県内の和洋中の人気店のメニューを味わうことができる。

「ルルドの建物は、四万温泉でも指折りの大規模旅館をリノベーションしたものです。そのような建物を再建するからには、地域全体の活性化につながるコンセプトを打ち出したいと思いました。私の実家は祖父母の代から旅館業を営んでおり、108歳まで生きた祖母から、四万温泉では1カ月滞在もザラだったとよく聞かされたものです。そこで、湯治場としての歴史や連泊文化を活かしながら、今の時代に合った新しい宿泊業の理想像を示そうと、『SHIN湯治』というキャッチフレーズを掲げました」とエスアールケイの関代表は語る。

同社は現在、四万温泉で「ルルド」のほか、グランピング施設、カフェ、そして関氏の実家である「鹿覗キセキノ湯 つるや(旧・鹿覗きの湯 鶴屋)」を経営している。

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