日立建機 70年の軌跡と成長戦略 バリューチェーン事業を強化

社会ニーズの変化や技術革新が進む建機業界は今、大きな転換点を迎えつつある。このような中、日立建機は独特の進化を遂げながら発展してきた。「まちづくり、国づくり」の機械づくりを進める同社社長の平野耕太郎氏が語った。

平野 耕太郎(日立建機 代表執行役 執行役社長兼取締役CEO)

戦後の復興と社会資本整備に向けて、日立製作所では1949年、純国産技術による機械式ショベルU05を製造し、当時の建設省に納めた。そして1950年には、これをモデルチェンジしたU06の本格生産を開始したことで日立建機の歴史が始まった。日立建機ではその後、まちづくりや国づくりを支える建設機械(以下、建機)やマイニング機械の開発・量産・販売を続け、2020年には70周年を迎えた。

売上高の比率は「国内が8割」から
「海外が8割」に逆転

「売上高では従来、約8割を国内が占めていましたが、現在は約8割を海外が占めるようになっています。1980年代後半には、まず欧米からの注文が増加し、次第に現地生産に切り替えていきました。さらに1990年代中半以降は、東南アジアや中国などアジアに工場を造ってきました」。

日立建機代表執行役執行役社長兼取締役CEOの平野耕太郎氏は、70周年までの歩みを振り返る。近年はまた、機械の進化と共に、それを使う現場の人々や使い方も大きく変化している。高度経済成長時代に、ショベルは「機械式」から「油圧式」に移り変わり、今では様々なアタッチメントを装着できるようになっただけでなく、現在はロボットのような機能を持ち、その活動範囲は大きく広がっている。

一方、国内ではプロのオペレーターの高齢化が進んでいるほか、新興国は元々熟練オペレーターが少ないという事情もある。このため、ユーザーからは「簡単に運転できる機械が欲しい」、「故障を予知できるようにして欲しい」といった様々な要望が寄せられる。

建機をめぐる状況は、国や地域によっても異なる。新興国では現在も、戦後間もない時期の日本のような土木工事用の建機としてのニーズが中心にある。これに対し、先進国では使い方が高度化し、通信端末を搭載して機器の状態監視や機械の遠隔操作、電動化、さらには自律化・無人化へと向かっている。日立建機では、建機の安定稼働に、最新のIoT技術を使用した建設機械遠隔監視ソリューション「ConSite(コンサイト)」を用いている。

遠隔監視ソリューション「ConSite(コンサイト)」

「世界では現在、日立建機の約33万台の機械が動いていますが、これらの動きは通信端末で捉え、データを蓄積しています。このため、故障の予兆検知や速やかな対応も可能になっています。国や地域によって稼働状況や部品の劣化状況は異なりますが、世界中のデータを取っているので、各地域のお客様に合った提案ができます」。

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