AIとの対話で心の状態を改善 進化するメンタルヘルステック

新型コロナ感染への恐れや行動変容で、誰もが心身にストレスを感じた2020年、国内外でメンタルヘルスサービスの需要が急拡大した。企業従業員のストレスチェックや、チャットボットを使ったセラピーなど、AIを活用したサービスの成長が著しい。

コロナ禍によるストレス
企業従業員の7割が実感

AIと対話するメンタルヘルスケアアプリ「emol」

コロナ禍は人々の身体の健康リスクを高めただけでなく、心の健康リスクにも大きな影響を与えている。

オラクルが日本を含む11カ国の企業従業員1万2000人に実施した調査によれば、「これまでのどの年よりも2020年は職場でストレスと不安を感じた」という回答が7割にのぼった。職場でのメンタルヘルスの問題が家庭に影響しているという回答は85%で、睡眠不足や体調不良、家族関係の悪化、友人からの孤立などに悩む人が多い。

こうした中で、メンタルヘルスに関するサービスの需要が拡大している。アメリカでは、社会的孤立や孤独に対処するための新たなSNSサービスやオンラインセラピー、チャットボットを活用したうつ病防止・治療ソリューションなどの利用が広がった。特に、テクノロジーでメンタルヘルスの問題解決を目指す、「メンタルヘルステック」に注目が集まるようになった。対面での治療やカウンセリングが難しくなった今、オンラインやAIを活用したメンタルヘルステックの需要は大きく高まっている。

AIで心理的ストレスを測定
働く環境の改善策を提案

日本の状況はどうなのか。メンタルケアアプリを開発するemolによれば、コロナ禍で一般向けサービスが増加かつ多様化し、「AI」「カウンセリング」「マインドフルネス」「CBD(カンナビジオール)」の分野でサービスが多く立ち上がったという。企業向けでも、産業保健向けサービスのほか、従業員のメンタルヘルスの分析・可視化の領域で多くのプレイヤーが台頭している。

emol株式会社作成「国内メンタルヘルステックカオスマップ2021」(2021年1月18日版)

日本のEAP(ストレスチェック)・メンタルヘルス関連市場規模は2016年に166億円であり、規模はまだ小さいものの、2014年からの2年間で倍に成長している(シード・プランニング調べ)。市場成長の背景には、健康経営に対する企業の関心の高まりがあるが、コロナ禍の影響で企業のEAP・メンタルヘルスへの投資は増えていきそうだ。

日本では2020年、企業向けメンタルヘルステックベンチャーの大型資金調達が相次いだ。組織診断ツールを提供するラフールは、昨年末に12億円規模の資金調達を実施した。

全文を読むには有料プランへのご登録が必要です。