沖縄振興開発金融公庫 政策金融から見た沖縄の課題と可能性

沖縄が本土復帰を果たした1972年から、沖縄の振興に携わってきた沖縄振興開発金融公庫。インフラ整備や大規模プロジェクト、リーディング産業の育成、社会課題の解決など、様々な役割を担ってきた。その過程で見えてきた沖縄の課題とポテンシャルについて、副理事長の渡部氏に話を聞いた。

渡部 晶(沖縄振興開発金融公庫 副理事長)

新型コロナウイルスは、沖縄の経済に深刻な影響を及ぼしている。県文化観光スポーツ部によると、2020年度上半期(4~9月)の入域観光客数は、前年同期比81.8%減の97万3100人。この減少率は、過去最大だ。また、沖縄観光コンベンションビューローは、2020年度の入域観光客数について、946万9200人が訪れた2019年度より60.9%減の370万人と予測している。

沖縄は、県内総生産(GDP)に対する観光消費額の割合が全国トップの20.9%。2018年度に1000万4300人の観光客数を達成し、2021年度までに観光客数1200万人、観光収入(観光消費額)1.1兆円を目指していた沖縄にとって、新型コロナウイルスは想定外の大打撃となった。

このコロナ禍で、存在感を増しているのが沖縄振興開発金融公庫(以下、沖縄公庫)だ。沖縄公庫によると、新型コロナウイルス関連融資の決定は、2020年1月27日~11月30日の期間に1万2183件、金額は2504億円に上る。これは県内の中小企業数等4万7476社の4分の1に相当する数で、沖縄公庫の過去3年の平均値(事業性資金の融資実績ベース)と比較すると、件数は約4倍、金額は約2倍に達した。メガバンクがみずほ銀行しかなく、地銀2行、第2地銀1行、信用金庫1行と資金量が限られている沖縄で、中小企業のセーフティネットとして機能しているのだ。

沖縄公庫では離島の振興・活性化も積極的に支援
Photo by WATARU OHIRA/Adobe Stock

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