2020年11月号
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変革への挑戦

明治20年創業の老舗企業 攻めの経営が生んだ「防災瓦」がヒット

鶴見 哲(鶴弥 代表取締役社長)

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愛知県の『三州瓦』は、石州瓦、淡路瓦と並ぶ日本三大瓦の一つ。国内の粘土瓦総生産数のおよそ8割を占める三州瓦においてトップシェアを誇り、高付加価値のものづくりを続けるのが、創業130年余の歴史を持つ鶴弥だ。

瓦屋根は災害に弱いという
風評を払拭するために

日本における瓦の歴史は古く、日本書紀には今から1400年ほど前(西暦588年)に百済から4人の瓦博士が献上された旨の記述がある。まずは寺院や城の屋根材として使われ始め、明暦の大火をきっかけに武家屋敷にも採用されるようになったようだ。一般市民の住宅にも広まったのは明治以降であり、明治20年創業の鶴弥(本社:愛知県半田市)は、国内粘土瓦の歩みと共にその歴史を刻んで来たといっても過言ではないだろう。

「133年の歴史の中にはいくつかの節目がありましたが、私にとっては1999年の防災瓦『スーパートライ110』の開発および発売開始が最大のターニングポイントです。下の瓦のハイパーアームが上の瓦のアンダーロックを押さえ込むという特殊な構造により、瓦屋根は災害に弱いという風評を払拭すると共に、初めてF形洋瓦の単一商品でトップシェアを獲得しました」と、代表取締役の鶴見哲氏は語る。

鶴見 哲(鶴弥 代表取締役社長)

鶴弥を代表する製品、防災瓦の『スーパートライ110』

下の瓦のハイパーアームが上の瓦のアンダーロックをがっちりと抑え込む「スーパーロック工法」で災害に強い瓦を実現している

そもそも瓦が屋根材として人気を得たのは、断熱性の良さに加え、耐用年数100年超と言われる日本の四季に耐える強さが理由だった。風雨にさらされる日本家屋の外装にうってつけということで、住宅着工数の伸びに比例するように生産量は右肩上がりに推移した。ところが、バブル景気の終わりとともに風向きが変わる。住宅着工の勢いが鈍化したうえに、トレンドは注文住宅から建売住宅へと移行。坪単価(予算)もジリジリと削られて手間と技術力を要する粘土瓦は敬遠された。

「追い打ちをかけたのが、阪神・淡路大震災などの被災報道です。業界では風評被害だと受け止めていますが、損壊の大きさをセンセーショナルに伝えるために、屋根瓦の損壊シーンが写真や映像で繰り返し流され、『瓦何百枚が落ちた』など数字を添えて報道されたのです。これで、瓦屋根=災害に弱いというイメージが定着し、出荷は大きく落ち込みました。当社製品を使ってくださっていた取引先にも迷惑をかける結果になり、この汚名を返上することが長年の課題となったのです」

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