日本初、P2P保険の真価 SNS時代、助け合いをアップデート
コロナ禍は既存の保険ではカバーできない損害も生み出し、従来の仕組みには限界があることを示した。そうした中で、「P2P保険」という新しい助け合いのプラットフォームをつくり、保険のあり方を変えようとしているベンチャーが、2018年1月設立のFrich(フリッチ)だ。
SNSでつながる
個人同士が支え合う仕組み
Frichの富永源太郎CEOは、既存の保険には主に3つの課題があると話す。
「1つは、一人でも多くの加入者を集めてリスクを平均化しなければならず、結果として画一的な商品となるために、自分に合った保険がなかったり、人によって損得に差が出たりします。2つ目として、業界のリスク計算に基づいて純保険料が設定され、保険料が割高になりがちとなる。3つ目は、保険会社はリスクが少ない人を集めたいと考えるために、本当に必要な人が加入できなかったり、有事の際に免責・不払いで困るような状況が起こります」
FrichのP2P保険はそれらの課題を解決し、集団の細かなセグメント分けによる適切な商品の提供、セグメントごとの事故率に応じた適切な保険料の設定、困っている人こそ加入できる有事への備えを提供する。
なぜ、そのようなことが可能になるのか? FrichのP2P保険では、SNSでつながっている個人同士がグループをつくって拠出金を出し合い、そのグループの幹事役となる個人が保険者の役割を担う。保険を引き受けるのは、あくまで既存の保険会社であるため、既存業界とFrichは協業モデルになる(図参照)。保険会社にとっては一定数の契約者を見込めるため、これまで保険加入ニーズがありながらも、市場規模が小さい等の理由で難しかった保険サービスが成立しやすくなる。
Frichが提供する「P2P保険」の仕組み
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