三菱ケミカルの「KAITEKI」経営 化学の力で守る社会の安全

「KAITEKI」をコンセプトに、事業を通じた社会課題の解決に取り組む三菱ケミカル。様々な自社資源を組み合わせて、新型コロナウイルス感染症と戦う製品をいち早く開発した。グローバルな環境、社会課題の解決に貢献する化学会社の今後のビジョンを、和賀社長が語った。

和賀 昌之(三菱ケミカル 代表取締役社長)

―――三菱ケミカルでは、コロナウイルス感染拡大を受け、様々な危機対応を素早く打ちだしてきました。これはどのようにして可能になったのでしょうか。

和賀 当社は、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、感染防止用のフェイスシールドやプラスチックガウンなど、関連製品の提供を開始しました。外出自粛下の在宅勤務中に、「三菱ケミカルもこの事態に対し何かできるのではないか」と役員にチャットでつぶやいたところ、様々なアイディアが出たので、直ちに実行に移しました。

まず、合成アルコールを製造していますので、病院を顧客に持つ部門の紹介で、手指消毒用エタノールの代替品として、各地の医療機関や公的機関に寄付を行いました。フェイスシールドやプラスチックガウンも、今回初めて製造しました。素材があるから作ってみた、というのがスタート地点ですが、提供を始めたところ、ユーザーである医療機関からは様々な要望が寄せられました。例えば、フェイスシールドが曇って困るとか、光が反射して手元が見えない、などです。当社以外の製品も同じ問題を抱えているようでしたが、化学メーカーから見ると、このような課題は解決可能です。例えば三菱ケミカルには曇り止めのコーティングや、反射防止フィルムの技術がありますので、要望に応じて製品を改良していくことができます。

この他、医療従事者の方のお話を伺って、使い捨てプラスチックガウンは、脱ぐときにウイルスに触れてしまう可能性があることを懸念されていたので、背中側にミシン目を入れて、あまりガウンに触らずに破いて脱衣できる構造にしました。また、洗濯して使用する防護衣向けに、専用のランドリーバッグ(洗濯袋)を開発しました。水中で溶ける素材で作っているので、ランドリーバッグごと洗濯機に入れることができ、汚染されている可能性のある防護衣に触れる機会を減らすことができます。

他にも、体温で顔にフィットするよう形状を変えるマスクや、熱伝導性が高く冷感があるマスクなど、色々な製品を検討しています。

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