「人は来るけど混雑はしない」世界へ IoTで「空き」を見える化

混雑状況を自動検知するシステムを手掛け、トイレや飲食店、商業施設、ホテル・旅館など、あらゆる場所に対応して、「いま空いているか1秒でわかる」サービスを提供するバカン。同社は「空き」情報をコアに新たな展開を視野に入れ、地域全体の人の流れの最適化を目指す。

コロナ禍の影響で
問い合わせは数十倍

AIとIoTの力で混雑状況を自動検知し、スマホやサイネージに情報をリアルタイム配信。トイレ、会議室、飲食店、商業施設、宿泊施設など、あらゆる場所の混み具合を可視化し、無駄な待ち時間を減らす。ベンチャー企業、バカンは「空き」情報に特化したサービス『VACAN』を展開し、注目を集めている。

『VACAN』は大丸東京店や有楽町マルイ、阪急うめだ本店、成田空港、サントリーホールなど数々の施設に導入されているが、「コロナ禍の影響で問い合わせは数十倍に増えています」と、河野剛進代表は語る。

河野 剛進(バカン 代表取締役)

コロナ禍の前は、来店者の利便性向上や回遊性を高めるために導入する施設が多かったが、現在では「3密」防止を目的とした安全・安心のニーズが高まっているという。施設・店舗にとって、「3密」対策に力を入れることが集客力や競争力に直結する時代となっているのだ。

「営業を再開しても、お客様に安心してもらえないと、客足は戻りません。バカンは5月1日から期間限定で、小売業向けにサービスの無償提供を行っています。コロナ禍で経営が逼迫しているお店はたくさんありますから、まずは、ここを乗り切ることが大事。今は、この状況を打破してもらうための支援に力を注いでいます」

あらゆる空間に柔軟に対応し、
混雑状況を見える化

河野代表は「子どもが生まれて家族と過ごす時間が増えたことが、サービス発想のきっかけ」と話す。

「子どもと出かけた先でレストランを探すと、どこも行列。探し回っているうちに子どもが泣き出してしまう。何度かそうした体験をし、自分たちの限られた時間を楽しく過ごすために、リアルタイムで空き状況がわかるサービスがあればいいと考えました」

河野代表は、2016年6月にバカンを設立。センサーやカメラなどのハードウェアと、データの高度な処理技術を組み合わせることで、高い精度で空き状況を検知し、可視化するシステムをつくり上げた。センサーなどのハードウェアも自社開発だ。

「個々の要素技術を持っている会社は他にもありますが、私たちは、空き状況の検知に特化して技術やデバイスを複合的に活用するノウハウを蓄積しており、また、取得した情報をユーザーにわかりやすく伝えるユーザーインターフェースの知見もあります」

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