経済が好調の広島県 注目されるイノベーションの成否

県内総生産は中国地方トップで経済の好調が伝えられる広島県。多くの創業経営者を輩出してきた伝統の上に立って「イノベーション立県」を推進している。観光・インバウンドと県の施策から、今後への期待・課題を明らかにする。

広島平和記念資料館・原爆ドームと宮島・厳島神社は、訪日外国人観光客の人気スポットだ

欧米豪からのインバウンドに独自の強み

韓国・台湾・香港・中国などアジア諸国からの訪日観光客を主体とする県が多い中国地方にあって、広島県は異彩を放っている。欧州・北米・豪州からの訪問客が主だからだ。

実際、成田や羽田に到着した欧米豪観光客が、訪問先として東京・京都(奈良)・大阪・広島を挙げるケースは非常に多い。被爆地ヒロシマの世界的知名度のなせるワザであろうし、欧米豪の人々の志向性の反映とも言えるだろう。

それに加えて広島県には同じく世界遺産の宮島・厳島神社というキラーコンテンツがあり、同県は彼らの人気訪問先になっている。ゴールデンルートの延長上に位置する利便性は言うまでもあるまい。

トリップアドバイサーの「外国人に人気の日本の観光スポットランキング2019」ベスト30を見ると、第2位の広島平和記念資料館・原爆ドーム、第3位の宮島・厳島神社に加えて、第16位に縮景園(広島市)、第17位に大本山大聖院(廿日市市)がランクインしている。キラーコンテンツを起点として訪問先が広がりつつあることが見て取れよう。

しかし一方、広島県には1人当たりインバウンド消費金額が少ないという弱点がある。今後は、県内だけではなく近隣諸県との連携強化を通じて、訪日リピーターを中心に1回当たりの泊数と消費金額の拡大を図っていく必要があろう。そうした地域連携を検討する上で注目されるのが県立広島大学の「宮島学センター」である。

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