和食麺類チェーンのサガミHD V字回復を支えた改革とビジョン

東海地区最大の和食麺類レストランチェーンを運営するサガミホールディングス。一時期の経営不振から見事なV字回復を遂げ、海外への出店も成功している。その陰には、鎌田会長が行ってきた大胆な改革があった。

鎌田 敏行(サガミホールディングス 代表取締役会長兼CEO)

ビジョンのない企業に未来はない

1970年創業、今年創業50周年を迎えるサガミホールディングスだが、1997年をピークに長期的な経営不振に悩まされることになる。そこで経営再建に向けて出資関係にあった伊藤忠商事から2007年に派遣されたのが、現在会長を務める鎌田敏行氏である。鎌田会長は、伊藤忠商事時代に外食産業チーム長として国内外の大手企業と4つの合弁企業を立ち上げた、いわば外食のプロフェッショナルである。「私が来た当時のサガミの印象は、料理の味が良く、地元での知名度が高く、社員は優秀。加えて高齢化はある意味追い風にすらなる筈だ。それなのに業績が低迷していたのだから、経営が問題なのは明らかでした」。鎌田会長は当時のサガミの問題点をこう語る。「議論と情報の共有がない、お客様基点の視点の欠如などもですが、一番の問題点は、ベクトルを合わせて組織が成長するために必須となるビジョンがなかったことです」。

鎌田会長が、組織が将来ビジョンを持つことの大切さを重要視するようになったのは、伊藤忠商事時代の上司、丹羽宇一郎氏の影響が大きい。丹羽氏といえば、1998年に伊藤忠商事の社長に就任すると、約4000億円の不良債権を一括で処理、同社の業績をV字回復させ、民間出身で初の中国大使にもなった、日本を代表する経営者の一人である。丹羽氏は自身が課長だったときから、「部全体のビジョンは何か」を常に意識し、そのために何をすべきかを考え、行動していたという。そんな丹羽氏のもとで働いた鎌田会長が率いる現在のサガミは、ビジョンとして「No.1 Noodle Restaurant Company」を掲げ、その実現に向けて、全社一丸となって励んでいる。

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