2020年1月号

デジタルマーケティングによる誘客戦略

JNTOの地域プロモーション 専門部署創設で地域とより近い存在に

日本政府観光局

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インバウンドに取り組む地域を、デジタルマーケティングを駆使して支援しているJNTO(日本政府観光局)。地域との関係の主体となるのは新設された地域プロモーション連携室だ。集積したデータや知見を地域に提供し、連携することで、より効率的な誘客戦略を後押ししているという。地域連携部長の渡辺厚氏にその取り組みについて聞いた。

――地域プロモーション連携室を立ち上げた目的や活動についてお聞かせください。

渡辺 インバウンドに取り組む地方自治体や観光協会、DMOなど、地域との窓口の連携強化を目的として2017年9月に設立し、現在は10名体制で活動しています。地域ブロックごとに専任担当者を置き、各地域の現状や課題を把握した上で、デジタルマーケティングの活用やJNTOの海外事務所の知見を活かした市場目線のコンサルティングを行っています。その他、観光実務者向けの研修会やフォーラム、商談会を実施し、地域との接点を増やしています。

――地域とのコミュニケーションを通じて見えてきた「地域に必要なもの」とは。

渡辺 プロモーションや情報発信も大切ですが、真っ先に取り組んでいただきたいのが、受け入れ環境を整備し、訪日外国人旅行者の満足度向上を図ることです。地域を訪れた訪日外国人旅行者の多くは、SNSや口コミで旅の感想を発信し、拡散されていきます。つまり、その土地を訪れた訪日外国人旅行者の満足度を高める取り組みこそが最も効果的なプロモーションとなるのです。それには観光事業者だけでなく、異業種も含めた街全体で「ウェルカムマインド」が醸成されることが何よりも大切です。そして、広域連携の中でストーリーづくりを行い、訪日外国人旅行者が「また来たい」「周遊してみたい」と思うような観光地域を目指していただきたいと思います。

持続可能な観光地域にするには、コンテンツに付加価値があることが絶対条件です。旅行はハレの消費ですから、価格に見合ったコンテンツだと認められれば、高額でも消費していただけます。そのためには、地域資源を掘り起こし、魅力あるコンテンツとして自信をもって対価をいただけるレベルに磨き上げることも同時に行う必要があります。

訪日外国人旅行者数が増え、単ににぎわうだけでなく、その土地の滞在、体験に対して地域での消費額を上げて持続可能な観光の仕組みを作ることが大切です。

渡辺 厚(独立行政法人 国際観光振興機構 地域連携部 地域連携部長)

――観光地域づくりに向けて、具体的にどのような施策を行っていますか。

渡辺 「そもそも何から始めればいいのかわからない」というお声も多かったので、JNTOの「地域インバウンド促進サイト」で地域の取り組み事例を公開することから始めました。

これに加え、3つの施策を実施しています。1つ目は、世界に向けてのJNTOを通じた地域の魅力発信です。これは昨秋から始まった「観光コンテンツ収集事業」がベースになっています。地域の魅力ある体験型コンテンツを収集し、JNTOのプロモーションに活用するという事業で、2100のコンテンツが集まり、そのまま活用できるものは300に上りました。その他は、できる限り応募いただいた自治体、DMOに足を運んで改善点をフィードバックし、次なる磨き上げの参考にしていただいています。

2つ目は、地域におけるウェブサイト・SNSの運用支援で、外国人を魅了するウェブサイトの制作マニュアルやFacebookとInstagramの運用ガイドラインを作成しました。これは我々JNTOが外国人目線でグローバルウェブサイトを一新した際、私どもが学んだ「外国人目線」の情報発信に関する知見とノウハウがベースになっており、各地域のデジタルプロモーションに活用いただける内容になっています。

3つ目は、統計データの活用です。最新の訪日外客数や都道府県別訪問率など、訪日外国人旅行者に関するデータを専用サイトにて公開しています。年や国・地域などを自由にカスタマイズしてグラフ化できますので、定量的データに基づく地域の施策立案にご活用いただけます。

――成果が出ている取り組みはありますか。

渡辺 JNTOのデータを活用したデジタルプロモーションの実証実験です。一般的なデジタル広告の手法は、それぞれの広告配信会社が持つアルゴリズムによって推定される「旅行好き」「アウトドア好き」などのユーザーに対して広告配信を行いますが、他方、JNTOが保有するオーディエンスデータ(※)を活用した広告配信は、実際にJNTOウェブサイトを訪問したことがあるユーザーという事実ベースに基づいたターゲティング配信が可能である点が特徴です。

あるDMOと共同で試験的に広告を配信したところ、特にウェブサイト訪問後のユーザー行動において従来よりも高い効果が得られることが実証されました。こうして得られたデータに加え、今度は私どもが外部から調達する複数のデータも活用しながら情報配信し、その効果を検証するというPDCAが今まさに回り始めたところです。

※オーディエンスデータ......Cookie(ウェブサイトの訪問回数やユーザーIDを保存しておく仕組み)のデータを元に、閲覧履歴や属性データなどを組み合わせ、個人そのものは特定しないが、広告メッセージを受け取るユーザーを想定するデータ。

――今後の展開について、どのように考えていますか。

渡辺 JNTOは世界の主要都市に海外事務所を持ち、50年にわたってインバウンド誘致に取り組んできた経験と知見から、「外国人目線」の効果的な情報発信を実現してきました。その一方、「敷居が高い」「相談しにくい」というお声もあったため、これを真摯に受け止め、地域の皆様と近い存在の信頼できるパートナーとなるために、地域プロモーション連携室を新設したという経緯があります。最近では「身近に感じられるようになった」という嬉しいお声もいただけるようになりました。今後はさらなる地域の窓口としての体制強化を図りながら、地域の皆様の期待に応えられるよう「地域目線」のインバウンドプロモーションの推進をスタッフ一丸となり、目指してまいります。

SNS起点の次世代インバウンドを
専任担当者が手厚くフォロー

関西唯一の広域連携DMOである関西DMO。規模や課題が異なる2府8県の広域エリアを対象とするため、地域ごとの事情を把握するのが難しいという悩みを抱えていた。解決の糸口を見つけるきっかけとなったのは、JNTOによる個別の無料相談だった。

森 拓(一般財団法人 関西観光本部 戦略企画部長)

戦略企画部長の森拓氏は「訪日外国人旅行者の動態データから、意外なエリアで流入が増えていることが分かり、定点観測の必要性を再認識しました」と話す。

一方、米国人職員を中心にFacebookとInstagramでの情報発信も行っているが、「いいね」が付きにくいという新たな課題も出てきた。

「そうしたときにSNSの運用ガイドラインを拝見し、彼の感性にJNTOの知見をプラスすれば、関西の魅力を効果的に発信できると感じました。研修会で初めて知った統計データもあるので、PDCAを回していく中でこれらのデータを有効活用し、広域観光を促進していきたいと思います」。

DMO向け研修会についてはこちら
受け入れ環境整備についてはこちら
外国人向けウェブサイト制作マニュアルについてはこちら
Facebook運用ガイドラインについてはこちら
Instagram運用ガイドラインについてはこちら
統計データ活用についてはこちら

 

日本政府観光局への

お問い合わせ


独立行政法人 国際観光推進機構(通称:日本政府観光局)
地域連携部 地域プロモーション連携室
Tel:03-6691-3891
受付時間:9時15分~12時 13時~17時45分
(土曜・日曜・祝日を除く)
URL: https://action.jnto.go.jp/

 

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