カリスマ投資家が過疎の町で古民家購入、地域活性の実践者に

カリスマ投資家として著名なレオス・キャピタルワークス、藤野英人社長が、富山県朝日町に古民家を購入した。今、藤野社長は自ら地域活性の実践者となって、その古民家を拠点にしながら、人口減少の町に変化を起こそうとしている。

人口約1万1000人の小さな町、富山県朝日町。緑に囲まれ、自然豊かな風景が広がる

藤野 英人(レオス・キャピタルワークス 代表取締役社長)

自分自身が地域に入り、
そこで汗をかく必要がある

――なぜ富山県朝日町(あさひまち)で古民家を購入されたのですか。

藤野 朝日町は富山県と新潟県との県境にある、人口約1万1000人の小さな町です。人口の約半数を65歳以上が占めていて過疎化が進んでおり、いわゆる将来存続できなくなる可能性のある「消滅可能性都市」です。

私は2018年秋に朝日町で古民家を購入しました。今、定期的に朝日町に通うようになっています。最初のきっかけは、Facebookのメッセージでした。差出人は朝日町の坂東秀昭さんという建築家で、「自分は地元を盛り上げるために、古民家のリノベーションなどに取り組んでいます」といった内容でした。私が富山でセミナーを開いた時、その彼が会場に来ていて、「ぜひ朝日町に来てください」と誘ってくれたのです。

後日、朝日町に行くと、坂東さんから「藤野さんに買ってもらいたい古民家がある」と。それがすごく大きな古民家で。「まさか買わないよ」と思ったのですが、値段を聞いたら信じられないくらい安価でした。

もともと、私には地方から日本を元気にしたいという思いがあります。そうした思いから当社の投資信託「ひふみ」は、集めた資金の多くを地方企業に投資しています。こうした活動は、地方創生に一役買ってはいるでしょうが、やはり自分自身がどこかの地域に入り、そこで汗をかく必要があるのではないかと感じていました。

以前から候補地をいろいろ考えていましたが、どこで始めるにしても、必ず必要になるのが地元の協力者です。「地域のために」という熱い思いを持ち、強くコミットメントしてくれる人物がいなければ、地域に根付くのは難しい。坂東さんはまさにそういう人物でした。さらに、私は富山県出身なので、大きくとらえれば朝日町も故郷のようなもの。やるならここかもしれないと決断しました。

――購入されたのは、どのような古民家なのですか。

藤野 非常に広くて、1階は100人ぐらいを集めて勉強会ができるくらいのスペースがあります。同じくらいの広さの2階もあって、そこを宿泊に使えば合宿もできます。売りに出される直前まで人が住んでいたので状態も比較的良い方で、敷地内には果物の木が何本かあって用水路も流れています。

藤野社長が購入した朝日町の古民家。居住面積が広く、1階にはセミナーが開催できるほどのスペースがある

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