2019年11月号
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SDGs×イノベーション

SDGs浸透へ 効果や意義を評価する客観的指標が必要

三井 久明(国際開発センター SDGs室長)

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民間企業にもSDGsの認知が進み、企業活動の根幹を左右する一方で、その有効性は実施者が自ら評価しているケースが多いのが現状だ。日本初の開発・国際協力シンクタンクが、豊富な事業経験から引き出す評価尺度とは。

三井久明(みつい・ひさあき)国際開発センター(IDCJ) SDGs室長

IDCJは1971年に財団法人として設立、途上国の社会経済状況の改善をミッションとした総合的シンクタンクだ。外国留学・駐在経験のある各分野のエキスパートを多数擁し、長く政府開発援助(ODA)を中心とした受託事業を手掛けてきた。近年は企業のSDGs取り組み支援に注力する。「企業による開発・国際協力的な取り組みは過去にも多数行われてきたのですが、CSRやフィランソロピーとしての色彩が強いものが多かったように見受けます。持続可能な開発目標(SDGs)では、先のミレニアム開発目標(MDGs)から進んで環境やイノベーションというテーマが掘り下げられ、先進国にも様々な世界的課題が意識されたのは大きな成果でした。企業が実効性のある開発・国際協力を志すには、自身のビジネスとして取り組むことが重要です」(三井氏)。

SDGsの普及で、かつては社会貢献の文脈で語られたような取り組みをビジネスとして捉え直す機運も高まっている。「激変の只中で、企業には持続的な発展のビジョンが必要です。SDGsはその理想の姿を描く材料になります。途上国には、縮小する日本国内市場に比べて新事業の萌芽が多く、困難はあれど有望な市場です。現地の社会・経済問題を解決するビジネスを設計して市場に参入するのは、価格競争力がある中国企業や、既得権益を有する欧米企業と差別化する点でも、スマートなアプローチと言えるでしょう。

IDCJでは、こうした企業動向を捉えて、民間企業のビジネスを活用した途上国支援の達成を企図しています。豊富な知見や関係省庁とのパイプを活かした有効な支援で、相互に連携し頼り合えるパートナーシップを築きたいと考えています」(三井氏)。

GRIスタンダードとSDGs

IDCJは、サステナビリティに関する国際基準を策定する非営利団体GRI(Global Reporting Initiative)と協力関係にある。1997年にCERES(Coalition for Environmental Responsible Economies)のプログラムとして開始され、2016年に策定されたGRIスタンダードは、法的拘束力こそないものの、各国企業や政府が一定の拘束感をもち依拠する規範(ソフト・ロー)として、国際的に利用されている。

「IDCJは日本でのGRIの研修パートナーであり、日本国内におけるGRIスタンダード研修、同スタンダードに基づくSDGsビジネスレポーティング研修の実施などを担っています。サステナビリティを指向する流れから、企業の意識を社会課題に導き、これの解決を図る取り組みの推進を支援しています」(三井氏)

SDGsレポーティング研修教材の表紙

GRIスタンダードはまたSDGs対応にも有効だ。SASB(Sustainability Accounting Standards Board)基準などに比べ、投資家への情報提供よりも社会貢献度の計測を重視した内容という。

とは言え、経済界のSDGsへの取り組みに課題はないのか。「中には、過去事例整理してSDGsとの対照を示しているにすぎないものもみられます。SDGsには、民間企業向けの公式な評価指標は存在しませんが、効果や意義を判定する客観的基準は必要です。企業が今後の行動を決める判断基準になるからです。IDCJでも、GRIスタンダードを基に『ビジネスレポーティング』というテーマで日本国内に訴求を進めています」(三井氏)。

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