地方創生第2期のカギとは? 事例から考える戦略策定

第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」は今年度の策定が始まり、来年度にはその実行フェーズに移る。山積する地域の社会課題を解決するには、既存概念や現状維持の考えからの脱却が必要だ。第1期の現在地をいかに再認識し、第2期ではどのような戦略を立てるべきだろうか。

村上 敬亮(内閣府 地方創生推進事務局 審議官)

「戦略のポイントを一言でいうと、『いろいろやるな、積み上げろ』に尽きます」。開口一番、村上氏はこう切り出した。「第1期の総合戦略で立てた柱のなかで、芽を出した事業、つまり何らかの『アセット』を積み上げた事業は何かを見極めることが大切。第2期ではそこに注力し、いかに継続的にそのアセットを伸ばすかを考えるべきです」

第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」策定 に向けて

内閣府資料より編集部作成

 

どんな事業にせよ、本当の意味での成果が出るには5~7年かかる。立ち上げから2~3年は農協や漁協、商工会など、地域関係者との調整で時間がかかるのが通例だからだ。各地の先進事例を紹介しながら、何よりも継続が大切なのだと村上氏は力説する。

何気ない地域資源が
地方創生のコンテンツに

岐阜県飛騨市古川町に美ら地球(ちゅらぼし)という会社がある。同社は「里山」の暮らしに触れるアクティビティとオーダーメイドツアーを提供しており、これが訪日外国人客に大変な人気を博している。日本人にとっては何の変哲もない、田んぼの景色こそに目を見張るのである。実際の田んぼを前に、水田の仕組みを説明すると、外国人は非常に興味深そうに聞き入るという。

「自分が海外旅行をするときのことを思い起こしてみてください。ガイドブックに載っている観光地を訪ねたことより、地元の人と何気ない会話を交わしたことのほうが印象に残っている経験があるはずです」

同社のメンバーは全員が岐阜県外の出身だ。「他地域からやってきた『よそ者』が『インバウンド』を連れ歩いているのですから、当初は地域の人には違和感があったに違いありません。でも何年もかけて実績を積み上げたからこそ、地域の信頼を得るに至ったのです」

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