構想と連携でチャンスを生み出す ヘルスケア領域の新ビジネス
ヘルスケアへの関心が高まり、今後も益々高まっていくと予想される今、どのようにしてヘルスケア領域の新ビジネスを生み出していくのか。取材を通して見えてきたことを踏まえ、新ビジネスを考える際の観点を提示する。
ヘルスケア領域のビジネスは、衣食住の生活の基本事項から始まり、医療分野をも含む、広い範囲に及ぶ。このような中、人々の健康を良好に保ち、豊かな人生を送るために、貢献できる新たなビジネスはどのような観点で生み出していったら良いだろうか。
観点① 医療界の課題解決
1つ目は、医療界の課題解決に向き合う観点で、新ビジネスに取り組むことだ。本特集でとりあげた、医療系VRベンチャーのHoloeyes社は、従来、患者のCTスキャンやMRIデータが2次元データであったために直感的理解が難しかったという課題を、その2次元データをクラウド上で統合・生成することで3次元のVR(仮想現実)/MR(複合現実)にすることで、直感的理解を可能にした。遺伝子検査のゲノムクリニックは、がんになりやすい遺伝子変異の有無を知ることで、より早期の治療開始を可能にした。
これら2つの事例では、従来の医療サービスを使うと非常にコストが高くつくため、利用できるケースは限られていたところ、イノベーションを起こし安価に提供することでより多くの人々の利用が可能となった。
さらに、両社とも多くのユーザーを獲得すればするほど医療データが蓄積されることになり、これらのデータを活かした新たな事業も考えられるだろう。つまり、医療界にある目前の課題解決に対して生み出した新ビジネスによって得られる医療データを活用して、さらなる新ビジネスも考えられるということだ。しかし、データ活用には課題もある。端的に言えば、個人情報である医療データの2次利用のルール整備についてである。
ルール整備については、決められた制度を遵守することは当然のことであるが、新たなテクノロジーの登場によって該当分野が空白地帯の未整備であったり、あるいは時代環境の変化の中で変更の必要性があったりするのならば、積極的に関係省庁に働きかけルール整備に乗り出すことも、新たなビジネス展開を考える際には必要である。
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