2019年11月号
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ヘルスケアの新産業

VRで医療コミュニケーションを革新 データビジネスにも照準

谷口 直嗣(Holoeyes 代表取締役CEO/CTO)

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ゲームなどのエンタメ分野で普及しているバーチャルリアリティ(VR=仮想現実)が医療業界を変えるかもしれない。医療系VRベンチャーのHoloeyes(ホロアイズ)が提案するクラウドサービスは、医療コミュニケーションにどのような革新をもたらすのだろうか。

谷口 直嗣(Holoeyes 代表取締役CEO/CTO)

VRが医療を変える

Holoeyes(ホロアイズ)が開発した「HoloeyesXR」は、患者のCTスキャンデータやMRIデータから生成された3次元のデータをVR/MRで活用できるようにしたクラウドサービスだ。

これまで医師は、人の身体という3次元の立体構造物に向き合う際、CTスキャンなどの2次元データを見ながら、脳内で3次元に変換していた。実際の臨床はもちろん、医学生の教育現場でも2次元の情報しか用いられておらず、専門家といえども決して理解しやすいものとは言えなかった。まして患者とのコミュニケーションにおいて、専門知識のない一般人に2次元情報だけで説明しても理解してもらうことは難しい。

「HoloeyesXR」は、VRに関する技術的な知識が無い医療従事者でも、個々の患者のVRアプリをつくることができる。市販のヘッドセットを装着すれば、まるで自分が体内に入り込んだような感覚で、臓器や血管、神経の位置関係を高い解像度で認識することができ、手術を綿密にシミュレーションできる。

「HoloeyesXR」は、手術前のシミュレーションや若手医師の教育用ツール、遠隔地との症例カンファレンスなどに活用することができる

さらにデバイスやPCを同期させ、複数の人が同じビジュアル空間を共有しながらコミュニケーションを取れるため、遠隔地との症例共有も容易だ。

「HoloeyesXR」の使い方は簡単で、たとえ最新テクノロジーに不慣れな医師でも抵抗なく扱えるという。VR/MR用のヘッドセットさえ用意すれば、その他の初期導入コストは不要。料金は1ケース(症例)1万円~と、学会向けに単発で使いたい場合でも試しやすい。医療機関がコンスタントに使う場合には、年額71万円で無制限に利用できる契約方法もある。月に6症例以上扱えば「元が取れる」計算だ。

ゲーム業界は高度な技術の宝庫

HoloeyesのCEO/CTOである谷口直嗣氏は、もともとゲームやロボットのアプリケーションの企画開発を手がけており、CGにも詳しい。知人の依頼で医療に関する新サービスの企画に取り組んでいた際、インターネットで外科医の杉本真樹氏の記事を見つけ、興味を抱いて連絡をとったことがHoloeyesの創業につながった。

「杉本は当時、画像処理ソフトでCTスキャンの画像を3D化し、臓器の模型をつくっていました。その3Dポリゴンのデータ形式はゲームでも使われるものだったので、医療関連で何か一緒にできそうだと思ったんです」

谷口CEOはさっそく頭蓋骨の3Dデータをつくり、手元にあったVRヘッドセットに対応したアプリを試作。それを使ってみると、頭蓋骨の様子が手に取るようにわかった。杉本氏にも見せたところ、実際の患者のデータでVRアプリをつくってみようということになった。

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