移住者が急増する愛媛県西条市 「住みたい田舎」で四国トップ

豊かな自然に囲まれ、まちの至るところに湧き水スポットがある愛媛県西条市。知名度の高さがあるわけでもない同市で、移住者が直近1年間で約3倍に増えている。なぜ、移住者を呼び込むことに成功しているのか。副市長の出口岳人氏に話を聞いた。

出口 岳人(西条市 副市長)

「住みたい田舎」で四国1位に

――愛媛県西条市は、移住者の数が直近1年間で約3倍の289人に増加しています。

出口 人口が約11万人の西条市は「水の都」と言われており、西日本最高峰の石鎚山の伏流水によって、かなり広い範囲で「うちぬき」と呼ばれる湧き水が出ます。家の水道から天然水が出てくるような地域であり、多くの市民が「うちぬき」を生活用水にしていて、水道代がかからない家庭もあります。

市内には広範囲に地下水の自噴井があり、それらは「うちぬき」と呼ばれている

また、水が豊富にあることは工業の集積にもつながっています。海側に工業地帯が形成され、製造品出荷額は四国でトップクラスです。さらに、1年を通して気候は温暖で様々な農作物が育ちます。

愛媛県東部に位置する西条市。南は西日本最高峰の石鎚山、北は瀬戸内海に囲まれている

もともとポテンシャルが高い地域だったのですが、工業も農業もBtoBですから、一般層に向けた知名度は高くありません。私たちは地域の魅力を再定義し、都会とは異なる生き方、暮らし方の魅力をコンテンツ化し、それを届けるためのプロモーションに力を注ぎました。

東京に住んでいる20代~30代の移住希望者の多くは、行きたい場所が具体的に決まっているわけでなく、暖かい地域やご飯がおいしいところに行きたいなど、漠然としたイメージで考えています。ですから、まずは知ってもらい、選択肢に入れてもらうことが重要なのです。

プロモーション施策に力を入れた結果、西条市は宝島社の『田舎暮らしの本』に掲載された「2019年版 住みたい田舎ベストランキング」において、全部門で四国1位、「若者世代が住みたい田舎」「自然の恵み」の2部門で全国5位を獲得しました。

――西条市を知ってもらった後、実際の移住ヘとつなげるために、どういった取り組みを行っていますか。

出口 個別の希望に即してカスタマイズするオーダーメイド型の無料移住体験ツアーを開催しています。例えば農業に興味があるなら畑に行ったりなど、参加者の希望に応じて体験先を変えています。

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