根拠なきインバウンドブームに注意 自治体に求められる視点

今、多くの自治体がインバウンドに力を注いでいるが、地方圏の中には条件不利地もあり、日本人が訪れたことがないような地域でさえ、インバウンドに取り組んでいる。自治体には、他の地域を見るだけでなく、冷静に客観的に自分たちの地域を観察する視点も求められる。

定住人口の増加による地域活性化は難しい(ただし絶対に不可能というわけではない)。そこで交流人口に着目し、地域を活性化しようとする自治体が増えつつある。交流人口の一視点として「インバウンド」がある。

インバウンドとは、英語の「inbound」からきている。inboundとは「本国行きの、帰航の、市内に向かう」という意味がある。そこから転じて、旅行関連では「訪日外国人旅行」を指している。対義語は、日本からの海外旅行を指す「アウトバウンド」(outbound)となる。今回は「インバウンド」に関して、議会でのやりとりを紹介する。

議会質問等における
「インバウンド」の動向

議会において「インバウンド」が取り上げられた動向を確認する。図表1は、過去に都道府県議会におけるインバウンドが取り上げられた回数である。地方圏のほうが多く都市圏は少ないという傾向が見える。

図表1 都道府県における「インバウンド」の質問回数

出典:全国47都道府県議会議事録横断検索

 

図表2は都道府県議会におけるインバウンドの質問等の回数の推移である。近年注目を集めるインバウンドであるが、1989年に初めて質問が行われている。その後、右肩上がりで拡大してきた。以下では、簡単にインバウンドに関する議会質問等を紹介する。

図表2 都道府県議会における「インバウンド」の質問等の推移

出典:全国47都道府県議会議事録横断検索

 

<議会質問の実例>

・本年韓国の海外旅行自由化の中で九州各県での誘客の動きが活発化しているときに、県としては、いわゆるインバウンド政策、すなわち、海外からの観光客に対しての誘客のためのパブリシティーやその受け入れ態勢にいかなる対応が予定されているのか、伺います(熊本県議会平成元年2月定例会(1989年3月11日))。

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