空き工房と移住者をマッチング 100人の人口増よりも1人が大切

空き工房も「想像&創造力」で新しい仕事場になる。この構図を見事に具現化したのが、後継者難に悩む工房と移住者をマッチングする「波佐見空き工房バンク」だ。400年の歴史を持つ、ものづくりの町・長崎県波佐見町ならではのプロジェクトの全容を聞いた。

福田奈都美 波佐見空き工房バンク 創設者

「波佐見空き工房バンク」は長崎県波佐見町の使われていない工房を、インターネット上で情報公開して、ものづくりを生業にしている人や起業を目指している人に貸し出すプロジェクトである。この企画の発案者であり、現在も運営に携わっているのが福田奈都美さんだ。

福田さんは今でこそ、波佐見の男性と結婚し子供もいる母親だが、ほんの数年前までは、波佐見に縁もゆかりもない人間だった。波佐見にやって来たのは、2014年7月。総務省が実施した「地域おこし協力隊」としての移住だった。

「私は福岡県嘉麻市出身で、田舎育ちだからでしょうか。真っ暗な夜も、駅のない辺鄙さもまったく不自由さを感じませんでした。むしろ、居心地が良くて。波佐見は昔から移住者の受け入れ体制があるので、抵抗感みたいなものは全然ありませんでしたね」

地域おこし協力隊として配属されたのは、町の商工振興課商工観光係。第一期生だった福田さんは、手探り状態で窯元を巡り、SNSなどで情報発信をしていたという。そんな時、よく耳にしたのが町外の人から「波佐見に移りたいんだよね。どこかいい場所ない?」という相談だった。

ものづくりが町のアイデンティティ

波佐見に来て半年過ぎた頃、東京ビックサイトで開催されていた「移住フェア」に参加した時のことである。

「まだ震災前だったこともありますが、熊本や大分のブースがとにかく人気で長蛇の列。その反面、波佐見ブースには人が来なかったんです。波佐見は長崎で唯一、海のない町。ブースを客観的に眺めたら棚田のパネルがあって、波佐見焼の器がちょこちょこ並べられていただけ。これじゃ、人気ないよなと思いました。でも、これがきっかけで、波佐見の個性について真剣に考えてみたんです。移住者であり、実際に住んでみた私だから見えたこと。それらを企画書にまとめました」

400年の歴史がある"ものづくり"の町=波佐見。そんな町に移り住みたいという町外の人たちが実際に何人もいた。調べてみたら、職人の高齢化と後継者難による空き工房はたくさんあった。こういった流れから「波佐見空き工房バンク」は生まれたという。

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