2019年3月号

新規事業担当者に求められる広報視点

SDGsの広報は、CSRとは「異なる文脈」を意識せよ

川山 竜二(社会情報大学院大学 学監)

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あなたは、なぜSDGsに企業が取り組むのか、自分ごととして理解できているだろうか。根本的な理解なくしては、表層的な広報・コミュニケーションになりかねない。SDGsについて考えることは、社会と組織の関係を再考する機会にもなる。

SDGs(Sustainable Development Goals;持続可能な開発目標)は、17の目標と169のターゲットからなる。2015年9月25日-27日、ニューヨーク国連本部において、「国連持続可能な開発サミット」が開催され、150を超える加盟国首脳の参加のもと、その成果文書として、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択された。アジェンダは、人間、地球及び繁栄のための行動計画として、宣言および目標をかかげており、この目標がSDGsである。

事始めから丁寧に

最近、ビジネスの現場でもSDGsという言葉を盛んに聞くようになった。ところで、SDGsと聞いて何を思い浮かべるだろうか。ロゴマークが思い浮かぶ、もしくは国連が推進している取り組みであるということを思い浮かべるかもしれない。もう少し言って、「持続可能な開発目標」と言えはしても、一体何が「持続可能な開発目標」なのか意味を理解している人はどのくらいいるのだろうか。「持続可能な開発目標」とは、語弊を恐れずに言えば、今の世代も次世代の満足できるような社会を実現するための目標といってよいだろう。

SDGsを自分たちの組織で何とかしなければならないと考えるとき重要なことは、はじめから丁寧に、初心に立ち返ることである。実はこれがなかなか難しい。というのも、日常の業務に忙殺されるとどうしても手軽な情報にアクセスしてしまうからだ。その手軽な情報は、2次情報のことが多い。自分で1次情報に接する機会は極めてすくないのではないだろうか(もちろん、この記事も2次情報であることを忘れてはならない)。

ゼロから考える

自分たちの組織のなかでSDGsについて何らかの取り組みをしようとしたら、大きく2つに分けられるのではないだろうか。ひとつは、自分たちの組織の活動が「持続可能な開発目標」に合致していることをアピールすること。ふたつめは、自分たちの組織のなかで「持続可能な開発目標」にそって新しい活動(事業)を始めることであろう。

ただここで立ち返って考えなければならないのは、なぜ自分たちがSDGsの取り組みをアピールしたり、SDGsに沿った取り組みをしなければならないのか、という点である。そもそもSDGsは持続可能な開発目標といっても、自分たちに直接関係ないことも多いではないか。もちろん、だからといってSDGsに関する活動をやらなくてよいというわけではない。くわえて、SDGsに水を差すわけではないが、自分たちだけで盛り上がっていないだろうか。SDGsがどの程度の知名度を有しているのだろうか。たとえば、広報・CSR部門以外でどの程度知っているのか、そして家族にも尋ねてみるとよいだろう。

SDGsの認知度がどうであれ、社会的評価があがるから、SDGsに関する取り組みをするというのは身も蓋もない話なのだろう。大抵はそう考えるのだろうし、現実問題そうなのかもしれない。しかし、そこで立ち止まって考えてほしい。なぜ「SDGsに関する取り組みをすると社会的評価が上がる」のか。そしてなぜ「社会的評価を上げる必要がある」のか。なぜ「社会的評価を上げるためにSDGsに関する取り組み」を選ぶのか。このような「なぜ」に答えられるように思考を一巡させることで、SDGsの取り組みは身も蓋もない話から身も蓋もある話になるのではないだろうか。

社会情報大学院大学は、「SDGs&気候変動対策 長期ビジョン策定セミナー」(2018年12月19日(写真)、2019年1月21日)を開催した。来場者は主に企業のSDGs担当者で、熱心な質問が多数寄せられ、関心の高さが窺えた

社会と組織をつなぐ

SDGsの取り組みについて考えることは、社会と組織の関係性を再考するよい機会になると考える。よく「SDGsとCSRの関係は?」という質問をいただく。そもそもCSRは「企業の社会的責任」であり、企業と社会の関係性の文脈から出たものである。SDGsは、企業の社会的責任論と直接は結びつかないと私は考えている。ゼロから考えれば、本来はCSRとSDGsは別文脈であるはずである。しかしSDGsの取り組みについて考えることは、企業と社会の関係性の文脈にも当てはまるところがあるのだろう。なぜ、SDGsを考えることでCSRとの文脈にぶつかるのか、自身で考えていただきたい。

どちらにせよ、言いたいことは日々の業務に流されずに一度立ち止まってゼロから物事を捉え返すことからはじめてもらいたいということである。

 

 

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