2019年3月号
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地方創生の実践へ 議会質問のヒント

改めて、地方創生の意味とは? 「踏襲」「模倣」に陥らず「創生」を

牧瀬 稔(関東学院大学 法学部地域創生学科 准教授)

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「創生」を辞書で調べると、「作り出すこと。初めて生み出すこと。初めて作ること」とある。しかし、各自治体の「地方創生」の取り組みを見ると、過去と同じことを実施する「地方踏襲」や、他と類似の事業を展開する「地方模倣」が多い。今、改めて「地方創生」の意味を問い直す必要がある。

改めて、「地方創生」を考える

読者から「いまさら地方創生なんて…」と言われそうであるが、改めて考えてみたい。

現在、国をあげて地方創生が進められている。地方創生の法的根拠は「まち・ひと・しごと創生法」である(2014年11月28日制定)。通称「地方創生法」と言われる。読者は「地方創生」の意味を明確に答えられるだろうか。実は、地方創生という4文字には様々なニュアンスが含まれている。国は、どのような意図をもって地方創生を使用しているのだろうか。

地方創生は「まち・ひと・しごと創生本部」が担当である。同本部のホームページには「人口急減・超高齢化という我が国が直面する大きな課題に対し、政府一体となって取り組み、各地域がそれぞれの特徴を活かした自律的で持続的な社会を創生することを目指します」とある。この文章を読んでも、地方創生を明確には理解できない。

同本部の英語表記を見ると「Headquarters for Overcoming Population Decline and Vitalizing Local Economy in Japan」とある。前者の「Headquarters」は本部という意味がある。そして「Overcoming Population Decline」は「人口減少を克服する」と訳すことができる。後半の「Vitalizing Local Economy in Japan」は「日本の地域経済に生命を与えること」と捉えられる。つまり、国が意図している地方創生とは、「人口減少を克服」し、「地域経済を活性化」するための取り組みに集約されるだろう。

ところで、読者は地方創生の政策目標を知っているだろうか。それは「2060年に約8600万人まで減少する人口を約1億人までかさ上げする」ことである。将来人口推計よりも1400万人の増加を目指している。現時点において、国は「2060年に約8600万人まで減ることを前提に国づくりを進めていく」とは言っていない。

国の政策目標を達成しようと、自治体は地方創生に取り組んでいる。しかしながら、将来人口推計より人口数をかさ上げすることは至難の業である。多くの自治体-特に地方圏に位置する自治体は-が苦悩している。

図表1 都道府県における「地方創生」の質問回数

出典:全国47都道府県議会議事録横断検索

 

議会質問における地方創生

議会において「地方創生」が取り上げられた動向を確認する。図表1は、都道府県議会別に見た過去に「地方創生」が取り上げられた回数である。全体的に地方圏に位置する議会において取り上げられる傾向が強い。しかし、神奈川県議会が345回であり、都市圏の議会においても、一定数取り上げられている。全国的な取り組みということが理解できる。

図表2は各都道府県議会における「地方創生」の質問回数の推移である。地方創生法が登場したのは2014年である。その前年の2013年11月12日に、佐賀県議会において地方創生の質問がある。そして2014年が800回、2015年が3045回とピークに達した。ところが、2016年は2652回となり、2017年は1789回まで落ち込んでいる。図表2だけで判断すると、地方創生バブルは終焉しつつあると言えるかもしれない。なお、2018年は参考値となるが333回である。

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