ありそうで無かったを形に 「女性向け」DIY市場で躍進

約4兆円にも上ると言われるDIY市場。男性の日曜大工というイメージを払拭し、女性向けDIY市場の常識を大きく変えようとしている会社が大阪にある。「突っ張り棒」のリーディングカンパニーを率いる3代目女性社長に話を聞いた。

竹内 香予子(平安伸銅工業 代表取締役)

祖父は町工場からの起業

大阪西区の平安伸銅工業は、日本で初めて「突っ張り棒」ヒットさせたリーディングカンパニーだ。生みの親は、現社長・竹内香予子氏の祖父(笹井達二氏)。1970年代、地方から都市部への人口流出に伴い、手狭な住宅環境をどう改善するかという課題に対する提案だった。ヒントになったのは、渡米した際にシャワーカーテンを吊り下げる道具として使われていたテンションポール。これを日本向けに、収納用品として新しい用途を提案。次期社長(竹内氏の父)と改良を重ねたのが「突っ張り棒」の元祖という。

「私が入社したのは2010年。父の助けになればという想いから家業に入ったのですが、実際には安穏としているわけにはいかなった。最盛期に50億あった売上げが3分の1近くまで落ち込んでいたのです。『突っ張り棒』を主力とする収納関連の商品の売上が牽引してくれたおかげで黒字経営とはいうものの、他社との価格競争に陥る守りの一辺倒。利益が出ているからこそ、将来の成長に投資すべく新しい挑戦をしなければという危機感が強くありました」

市場にないものこそチャンス

竹内氏は、業績回復のために様々なことを積極的に社内提案。「収益の見える化」をして無駄を省き、社内の体制も変えた。そして、自らの新婚時代の家探しで新規事業のきっかけを掴む。

「最初に住んだのは2LDKの新築分譲住宅のマンションでした。ホワイトを基調に建具や内装もスッキリこそはしていましたが、住むうちに不便なところも出てきて、どことなく物足りない。もっと自分らしくコーディネートできる暮らしを手に入れたいと建築家の方に相談するなどして、いろいろな選択肢を考えてみました。そしてたどり着いたのが、中古物件のマンションを購入してリノベーションしていくというものでした」

竹内氏は、住みながら壁を好みの色に塗ったり、レールを取り付けて飾り棚や収納を増やしたり、インテリアショップなどで小物類を買い足すなど、初めてDIYに挑戦したという。そこでハタと気付いたのが「住まいに対する自分のイメージはありながら、いざ実践するためにホームセンターに行っても好みのパーツは手に入らないばかりか、プロ仕様のものばかり。女性が雑貨屋さんで小物を買う感覚で手軽に手にとれるものが市場には全くない。それなら、私が作ればいい、と気付いて奮起したのがスタートですね」

アメリカでは、中古住宅の売り手がリノベーションで資産価値を高めてから転売するといったニーズや、フランスでは古い家に暮らしながら何年もかけて住みやすくアップデートしていくライフスタイルが一般的だった。竹内氏は、今こそ平安伸銅工業で培ってきた販売チャネルや技術力といった経営資源を大いに生かし、女性向けDIY市場に活路を見出し、顧客目線でのマーケット拡大に乗り出したのだ。

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