2018年12月号
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理念こそ企業の本質

新規事業を生み出す「3つのwhy」 「何のために?」がすべての源

北川 廣一(サン・アド 代表取締役社長)

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事業構想とは、「どうやるか」ではなく「なぜやるか」。その“why”に対する答えが揺るがなければ、きっとイノベーションは生まれる。数々のヒット商品やCMを生み出してきた北川廣一氏の言葉は、起業の背中を後押しする。

北川 廣一(サン・アド 代表取締役社長)

事業構想とは未来の創造である

1982年にサントリーに入社。商品開発や宣伝・制作、ブランド戦略などの部署を経て、2017年に株式会社サン・アドの代表取締役社長に就任した北川廣一氏。これまで、誰もが知るロングセラー商品やCMを世に送り出してきた。そんな北川氏は、「事業を立ち上げようとする時、どのようにつくろう、とか、どのようにやっていこう、という方法論から入る人が多いと感じる」という。そこで例に出したのが、Apple社のGolden Circleだ。「事業を立ち上げる場合、まず中心にあるのが、なぜ事業を行うのかというwhy、次にどのようにやるかというhowが来て、最後に何をやるかというwhatが来る。方法論ではなく、必ずwhy、つまり、目的論から始めることが大事です」

北川氏が話すwhyは三つある。

第一に、「なぜ事業構想をするのか」。北川氏は、「事業構想とは未来を創ること。それも、遠い未来ではなくて身近な未来を楽しい方向へ導く、社会とのかかわりを持つ事業で、人を幸せにする未来を創らなければいけない」という。ハイブリッドカー、シャワートイレ、ウォークマンなどなど、日本発で世の中を楽しく、かつ幸せにしたイノベーションは多い。そんな「イノベーション」を訳するなら、ふさわしい日本語は「世のため、人のため、未来のため」だと北川氏。サン・アドが手掛けた村田製作所のキャッチコピー『優しくなければ未来ではない』を例に挙げ、「単に、変化した、便利になった、というだけでは寒々しい。未来を創るには人間中心のやさしさが必要です」。また、ピーター・ドラッカーの言葉『すでにそこに起こっている未来を探せ』を引用し、「未来を創るとは仰々しい意味ではなくて、つい先の未来に事業構想の大きなヒントはある。ちょっと先の未来で、自分が楽しくて、人から褒められたい、そんな気持ちが未来を創りやすい柔軟な頭にしてくれるはずです」

起業における3つの醍醐味

第二のwhyが、「なぜ起業をするのか」、である。このwhyに対し、北川氏は3つの醍醐味を挙げる。一つ目が、「描いた大きな未来が明確化でき、やりたいことの設計図とゴールの図を自分で描く醍醐味」。そのゴールも、ビッグピクチャーであることが大事で、たとえば売り上げなら、2倍にするのではなく0を一つ増やすくらいの大きな絵を描くべきだという。

図1 〝Why〟 起業するの?

出典:北川氏講義資料

 

二つ目に、ルールを破る醍醐味だ。北川氏はサントリーが日本で最初に開発した発泡酒の例を挙げる。酒税法では、麦芽が原料の3分の2以上でないとビールとは呼べない。ならば、それに縛られるのではなく、「麦芽が3分の2未満で、ビール味のお酒をつくればいいじゃないかと。法律を破るのではなく、従ったうえで新しいものをつくったわけです」。発泡酒は現在第三のビールとして定着。これも、北川氏がいう世のため人のための商品開発であり、「ビール代の負担を減らして、晩酌好きをハッピーにしたい、という社会とのコミットメントから生まれた商品でした」。家庭消費においては現在、発泡酒と第三のビールで7割を超えている。

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