2017年9月号

構想を実現する戦略広報

広報・宣伝で事業を育てる パナソニックの戦略広報

竹安 聡(パナソニック 執行役員 チーフ・ブランド・コミュニケーション・オフィサー、事業構想大学院大学教授)

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竹安 聡(パナソニック 執行役員 チーフ・ブランド・コミュニケーション・オフィサー、事業構想大学院大学教授)

売上の8割はBtoB事業

上野:最近、新聞でTechnics(テクニクス)の広告を見ましたが、広告のどこにもパナソニックとは書いていなかったことに驚きました。

竹安:当社は2008年にコーポレートブランドをグローバルでPanasonic(パナソニック)に統一しました。現在は、事業の実態により即したブランド体系を構築しようとしています。テクニクスのケースもその一環です。

日本でパナソニックといえば、家電の会社と思う方が多いでしょう。ただ、連結売上高に占める家電の割合は2割強です。その他8割は、住宅関連や流通小売、公共施設、航空・自動車関連など、BtoB事業の売上が占めます。

上野:なるほど。たしかに住宅や流通小売などは、あまり我々のイメージにはありません。

竹安:そのことは現在の課題です。そこで家電以外にも多様な可能性を持っていることを伝えたいと考え、「Panasonic Automotive(車載事業)」や「Panasonic Homes&Living(住宅および住空間)」といった具合に、今後の注力事業をパナソニックブランドとともに打ち出す"Panasonic事業ブランド"を立ち上げました。さらに、先ほどお話ししたテクニクスのような個別の価値を訴求する事業ブランドもつくりました。

新しい事業の「芽」を育てる

上野:企業理念やスローガンは、従業員と共有し浸透することで企業の社会価値が上がるものです。理念の浸透はスムーズに進んでいますか。

竹安:事業を取り巻く環境は大きく変化していますので工夫が必要です。パナソニックとしてのあるべき姿「A Better Life,A Better World」を実現するために、「Wonders!(ワンダーズ)by Panasonic」というキャンペーンワードのもと、お客さまに驚きや感動を感じていただけるような取り組みを展開しています。

その中のひとつが"Wonder賞"です。まだ社内でもさほど認知されていない事業でも、驚きや感動の芽があれば表彰してエールを送ろうという制度です。新しい農業スタイルを提案する事業など、「ワンダー」を体現する新しい取り組みが対象。こうした新規事業はプロモーション予算も十分ではありませんので、受賞したプロジェクトには、広報・宣伝などの予算やノウハウの提供などで応援します。

私が属するブランドコミュニケーション本部はコミュニケーション部隊ですが、ベースは事業にあると思っています。単に宣伝をしてイメージを上げるのではなく、事業を育てていくことが重要です。その結果として、ブランド価値の向上につながるのです。

上野:「広報・コミュニケーション」の担当者は、事業そのものを伝えていくことにとかく注力しがちですが、パナソニックの場合は事業を育て、健全化させ、社会的な評価を高めていこうとしている。そこが素晴らしいですね。

《聞き手》
社会情報大学院大学 学長 上野征洋氏

 

竹安 聡(たけやす・さとし)
パナソニック 執行役員 チーフ・ブランド・コミュニケーション・オフィサー、事業構想大学院大学教授
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